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第86回クルーズレポート

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Life Onboard

ブラジルに生きるヒバクシャ

ロベルト・フェルナンデスさん(映画監督)/ブロードウェイラウンジ

2015年01月11日

先日行った映画『ブラジルに生きるヒバクシャ』の上映会を受け、いよいよ監督のロベルト・フェルナンデスさんが洋上講座に登場。この映画を制作するきっかけに始まり、撮影のいきさつやその思いを語りました。
もともと映像制作会社で働いていたというロベルトさん。仕事を通じて様々な問題を扱うものの「誰も『その後の生活』については教えてくれない」と感じたことが、ドキュメンタリー制作へ繋がったと言います。そして、在ブラジル被爆者の森田隆さんとの出会い――。「平和な未来を作るためには『過去の記憶』が重要です。私たちは常に、過去を見つめる視点を抱き続けなければいけません」

ロベルトさんが撮影した2本の映画は、広島・長崎の原爆被害や、被爆者のその後の人生がと共に「ブラジルにおける核汚染の被爆者」が描かれていることが大きな特徴です。
その一つが「ゴイニアのセシウム事故」です。廃墟に無造作に放置され「鉄クズ」として廃品回収業者に持ち込まれたのは、医療用X線検査機に使われていた放射性廃棄物。しかし、その危険性に気付く人はなく、放射性廃棄物は回収業者の自宅へ運ばれます。そして当事者、その家族、近隣の人々が被爆。さらに、その家族、友人、同僚、その他「被爆者」と接触した不特定多数の人々…と被爆は広がりました。一部の人は急性被爆障害を発症。これにより放射能汚染が明るみに出ますが、その後も汚染された家や家具の廃棄業者、汚染地域の警備にあたった警備員らが被爆。全ての核廃棄物が管理下に置かれるまでに実に10年もの月日を要しました。ブラジル政府は60人の死亡と6000人の被爆を認めましたが、実際の被害状況はより甚大だと言われています。しかし、その実際の規模は、もはや把握できない状況になっています。

わずかな賠償金が認められた例もありますが、それはごく1部。大半の被爆者は何の補償もなく、政府に医療援助などを訴えています。放射性廃棄物の管理に始まり、被害の確認、「事件」発覚後の対応、被害者への補償――あらゆることが「杜撰」であるが故に事件は発生し被害を広げていきました。あまりにショッキングな事例に会場は静まりかえります。
さらに、もう一つのブラジル国内における事例として、「モザナイト」鉱山についても紹介。弱い放射能を帯びたモザナイトは、ブラジル国内でも原子力物質に指定されています。しかし鉱山労働者への被爆対策などはなされておらず、やはり多くの被爆者を生みました。

「放射能による被害者はそれが原爆であれ、核実験であれ、ウラン鉱山であれ、全てに共通することがいくつかあります。まず最初に身体に異変が現れること。細胞の死滅、ガン発生率の増加、遺伝子の突然変異の深刻化…。続いて被爆者本人と、家族・友人・同僚ら近しい人々への差別が始まります。最後に、彼らの要望に政府が応じることはありません。仮に何らかの補償が得られることになったとしても、既に手遅れとなっていることがほとんどです」。 こんなことばかりが「共通項」に挙げられるなんて――「『過去の記憶』が重要」そんなロベルトさんの言葉を改めてかみしめます。

「私のドキュメンタリーは『知ることの重要性』をうたったもの」とロベルトさん。広島・長崎だけでなく、ブラジルでの事例を合わせて取り扱ったのは、より広く、より深く知り、考えてもらうための取り組みだと語ります。
「このような悲しいことを二度と起こさないために、私たちは常に注意を払い、『過去』を意識し続けなければなりません」――ロベルトさんの言葉を胸に刻む講座となりました。

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