Life Onboard
冨田沓子さん(日本国際ボランティアセンター(JVC)南アフリカプロジェクトマネージャー)/ブロードウェイラウンジ
2016年01月17日

JVCスタッフとして南アフリカに暮らす冨田沓子さんによる、南アフリカ(南ア)紹介講座。今回は「南アのNo.1」をテーマに、その歴史といま、そして未来への課題や展望を伺いました。

冨田さんが来ているシャツ、見覚えのある方も多いのではないでしょうか?? そう、日本でも大きな注目を集めた、ラグビー南アフリカ代表・通称「スプリングボクス」のユニフォームです。「最近の南アフリカで、もっとも悔しかったのは、ラグビーW杯で日本に負けたこと! 現地ではあまりそこを突っつかないでくださいね(笑)」と冨田さん。この話題から、参加者をぐっと引き込みます。

南アを知る上で「ぜったいに避けては通れない」というのが、アパルトヘイト。そして、写真のこの人、ネルソン・マンデラの存在だと言います。
日本では「人種隔離政策」と訳されるアパルトヘイト。「もともとは、白人同士の貧富の格差を減らすための政策として始まったもの」と冨田さんは言います。黒人たちは決められた「居住区」にが定められ、それにより南ア人口の7割が全国土の1割程度の土地へ強制的に移住させられました。マンデラらによる反差別運動に加え、国際社会からの大きな注目と政権への批判・規制によってアパルトヘイトは「撤廃」されます。こうした時流の中、日本は反差別の声を挙げることはほとんど無く、アパルトヘイト政権との最大の貿易国であったことも忘れてはなりません。

アパルトヘイトの「撤廃」後、南アはマンデラ大統領と共に、肌の色や民族・文化にとらわれない「全ての人権の保証」を掲げ新たな国作りへ歩み出します。しかし、その一歩から20年以上を経た今も、「旧居住区」に暮らし貧困下にある黒人の人口比はあまり変わっていないと言います。根強い差別や格差といった大きな問題を抱える南アですが、「故ネルソン・マンデラの存在は南アが一つになる心の支えだ」と冨田さんは語ります。
全ての人々が平等に生きる「虹の国」をめざして歩む南ア。その土地を訪れること、そこに暮らす人々と出会うこと――南アを知り、南ア寄港に期待が高まる講座となりました。
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