2025
05.28
密林に眠る神秘アンコールワットの歴史や構造を徹底紹介

密林に眠る神秘アンコールワットの歴史や構造を徹底紹介

クルーズガイド


東南アジア、カンボジアの密林に静かに佇むアンコールワット。その神秘的な姿は、多くの旅人の心を惹きつけてやみません。

本記事では、アンコールワットの歴史、構造、周辺遺跡、アクセス方法まで紹介します。ぜひ最後までご覧ください。

アンコールワットとは、12世紀初頭に建てられたヒンドゥー教寺院で、カンボジアのアンコール遺跡群の中でも最も有名な存在です。アンコール遺跡群は、シェムリアップ一帯に広がる大小さまざまな寺院遺跡の総称。アンコールワットはその中心的存在であり、カンボジアの国旗にも描かれるほど、国の象徴となっています。

アンコールワットの「アンコール」はサンスクリット語で「王都」、「ワット」はクメール語で「寺院」を意味します。つまり「アンコールワット」とは「王都の寺院」です。当時の王であるスールヤヴァルマン2世が、自らの権威と死後の神格化を目的として建立したとされています。

アンコールワットの基本情報

ここではアンコールワットの基本情報を見ていきます。観光の際にご参考ください。

所在国カンボジア
国旗
世界遺産登録名アンコール
世界遺産分類世界文化遺産
世界遺産登録年1992年
言語クメール語(カンボジア公用語):アンコールワットを含む観光地では英語も通じやすい
通貨リエル(KHR):Riel
為替レート10,000リエル:2.49米ドル(2025.5月時点)
物価日本の半分ほど:水500ml(約80円〜)
時差UTC+7、JST-2(日本-2時間)
平均気温暖かい時期(3〜5月):最高平均35℃、最低平均26℃
涼しい時期(9月〜1月):最高平均30℃、最低平均23℃
観光ベストシーズン12月~1月:乾季にあたり気候が穏やか

アンコールワットの場所は?カンボジアのどのあたり?

GoogleMap: Angkor Wat

アンコールワットは、カンボジア北西部の都市シェムリアップ郊外に位置しています。市内中心部から車で約15分というアクセスの良さが魅力です。

周辺には他の遺跡も点在しており、遺跡巡りの拠点としても最適です。また、シェムリアップ国際空港からも近いため、到着後すぐに観光を開始できます。

幾度の破壊を乗り越えたアンコールワットの歴史

アンコールワットは12世紀に建設されて以来、幾多の戦争や政変を経てもなおその姿を保ち続けてきました。クメール王朝の衰退とともに一時期は放置されましたが、その後仏教寺院として再利用され、現在に至るまで信仰の対象となっています。

フランス植民地時代には修復が進み、1992年にはユネスコ世界遺産に登録されました。その壮大さと歴史的な価値は訪れる観光客を魅了しています。

アンコールワットの構造を解説

アンコールワットの構造図

ここではアンコールワットの構造を解説していきます。

環濠と西参道|聖域を守るナーガとシンハ

アンコールワットの外周をぐるりと囲む環濠は、幅約190メートルにも及び、まるで海のように寺院を取り囲んでいるのが特徴です。

その環濠を貫いて西参道が設けられており、入り口にはシンハ像が鎮座し、欄干には蛇神ナーガ像が並び、神聖な領域を守っています。

西塔門|中央祠堂へと続く荘厳な塔門

西参道を渡り、その先に尖塔が3つ並び立つ西塔門があります。「王の門」と呼ばれる中央の塔門は、王専用の門でした。左右の塔門は「象の門」とよばれ、象や牛車などが通ったとされています。

ここを抜けると、いよいよアンコールワットの内部に入り、神聖な雰囲気が一層強まります。

第一回廊|レリーフに描かれたヒンドゥー神話と歴史

第一回廊では、壁一面に彫られた壮大なレリーフ群が圧巻です。長さ800メートルにも及ぶこの壁面には、ヒンドゥー教の神話である「乳海攪拌」や「ラーマーヤナ」などの場面が描かれており、かつての王が自らを神の化身として位置づけたことが伺えます。

歴史的な戦いのシーンや天国と地獄の描写など、観る者の想像力を問うような芸術的な表現も見どころです。

十字回廊|日本人参拝者の痕跡をたどる

第一回廊から第二回廊に向かう途中に、十字回廊があります。十字回廊では、江戸時代にアンコールワットを訪れた日本人「森本右近太夫」の墨書を見ることができます。これは、日本と東南アジアの歴史的なつながりを示す貴重なしるしです。

また、十字回廊に面して4つの沐浴池跡があり、かつて水があった場所におりて見学が可能です。

十字回廊を奥に進むと階段が正面に現れ、ここをを登ると第二回廊に出ます。

第二回廊|デヴァター像と連子窓

第二回廊には、たくさんのデヴァター像(女神)が並んでいます。それぞれの髪型や表情が少しずつ違っていて、見比べるのも楽しいです。

連子窓は風や明かりを取り入れる以外にも、デザインとして建築されたものもあります。

第三回廊|シンボルが立つ神の領域

さらに中へ入ると第三回廊です。これまでよりも高い位置にあり、第二回廊から高さ約13mの急階段を上ります。形状としては中央祠堂を囲む4塔の祠堂を結ぶ1辺約60mの正方形です。

柱にはデヴァター像が他と比較して綺麗な状態で残っています。また第三回廊からは来た時の道を見渡すことができます。

中央祠堂|王が神と交信した聖域

アンコールワットの中心にある中央祠堂は、王が神と心を通わせるための場所でした。「神の領域」とされていて、中央祠堂の高さは地上約65m、第三回廊からも約35m高く、塔の上部にまでレリーフ装飾が施されています。

また、中央祠堂を頂点とした5つの祠堂は神々が住む須弥山(メール山)を表しており、周りの回廊はヒマラヤの霊峰、環濠は無限の大海にたとえられており、アンコールワット全体で当時の宇宙観を表現しています。

王はその中央で神と交信し、現人神として民衆を諭したとされています。今もその神秘的な空気を体感することが可能です。

アンコールワット周辺のおすすめ遺跡群

アンコール・トム|クメールの微笑み

アンコール・トムは、12世紀末に建設された巨大な都市遺跡で、アンコールワットの北に位置します。「偉大な王都」の意味し、12kmにも及ぶ城壁に囲まれています。

ピラミッド型の寺院「バイヨン」の中心には、巨大な観音菩薩の顔が4面に刻まれた塔が特徴的。通称「クメールの微笑み」と呼ばれています。

バンテアイ・スレイ|東洋のモナリザと称される女神像

アンコールワットの北東部にあるバンテアイ・スレイは、赤色の砂岩で建てられた小さな寺院です。ここには「東洋のモナリザ」とも称される美しい女神像が彫られており、その繊細さと優雅さは必見。装飾の緻密さではアンコール遺跡群随一といわれています。

プレア・ヴィヒア|天空にそびえる世界遺産

カンボジアとタイの国境付近、山の頂に位置するプレア・ヴィヒア寺院。断崖の上からは絶景が広がり、まるで天空に浮かんでいるかのような感覚が味わえます。カンボジア平原を見下ろせるため、「天空の寺院」とも呼ばれています。

サンボー・プレイ・クック|カンボジアで3番目に登録された世界遺産

アンコールよりも古い時代に築かれたサンボー・プレイ・クックは、7世紀に栄えた真臘(チェンラ)王国の首都跡でイシャーナヴァルマン1世により建造されました。

規模が小さく損傷も激しいですが、巨大寺院の建築へと発展していく過程である当時の技術で建築された寺院が残されています。空中宮殿のレリーフには八角形の祠堂や、羽の生えた人や馬が彫られています。

日本からアンコールワットへの行き方

日本からアンコールワットへのアクセスは、飛行機もしくはクルーズ+オプショナルツアーです。

飛行機の場合、日本からの直行便はありません。各都市で乗り継ぎ、シェムリアップ空港(SAI)へ向かいます。通常であれば1回の乗り継ぎで到着します。

主な経由地は以下です。
バンコク スワナプーム空港・BKK:タイ
ハノイ空港・HAN:ベトナム
ホーチミン空港・SGN:ベトナム

総飛行時間は7時間ほど。乗り継ぎする空港で待ち時間がかかるので、所要時間は8〜10時間くらいを見込みましょう。

シェムリアップ空港からアンコールワットへは6kmほどですのでシャトルバスやタクシー、ツアーなどで行けます。

クルーズの場合、寄港地の香港からオプショナルツアーで訪問可能です。旅の楽しみ方のひとつとしておすすめです。

大型クルーズ船は船内で過ごしていれば、次々と寄港地に到着します。観光の際も荷物は全て船室に置いて身軽に楽しめます。普段と比べて気軽に観光できるでしょう。ゆったりとくつろぎながら旅行する贅沢を味わえます。