アーカイブ: 寄港地
クロアチア第二の都市にして、アドリア海沿岸最大の港町スプリト。かつてのローマ皇帝の宮殿跡に築かれたユニークな旧市街は、世界遺産にも登録されています。
古代ローマの面影残る街
スプリトの街の起源は、3世紀末~4世紀初頭のローマ皇帝・ディオクレティアヌスの時代にまでさかのぼります。退位後の隠居用にディオクレティアヌス帝が築いた宮殿は、彼の死後長い月日が流れるうちに市民の暮らす街へと変貌を遂げ、増改築を繰り返しながら現在の形となりました。いたるところにローマ帝国時代の遺構や中世の建物が残る街並みは、さながら屋根のない博物館。なかでも街のシンボルである聖ドミヌス大聖堂の建つ広場には古代ローマの石柱が連なり、在りし日の栄華をいまに伝えています。
新鮮な海の幸に舌鼓
アドリア海沿岸最大の港町スプリトは美食の宝庫。この街を訪れたら、近海で獲れた新鮮な海の幸も楽しみです。市内には活気に満ちた魚市場があるほか、世界遺産の街並みを活かした雰囲気のよいレストランやカフェもたくさんあります。海老やタコのフリット、白身魚のグリル、ムール貝の酒蒸し、イカ墨リゾットなど、素材の旨味を活かした料理の数々は、美しいロケーションも相まってさらに美味しく感じられるでしょう。食事のお供には、土地の風土を活かしたクロアチア産ワインをぜひ。
イタリア北東部、隣国スロベニアとの国境付近に位置する港町トリエステ。かつてハプスブルク帝国の支配下にあったことから、街にはウィーン風の壮麗な景観が広がります。
文化の交差するカフェの街
ハプスブルク家の宮廷文化が薫るトリエステの街並みは、時に「小さなウィーン」とも称されます。この街を象徴する名所のひとつが、イタリア統一広場。重厚ながら優美な外観の庁舎が三方を囲み、正面に紺碧のアドリア海が広がるロケーションは、この街を包むエレガントな雰囲気を雄弁に物語ります。またトリエステはウィーンのカフェ文化を支えたコーヒー貿易の中心地だったことから、「カフェの街」とも呼ばれます。市内には、150年以上にわたって多くの市民や著名な文化人に愛され続ける老舗カフェが点在しています。
大聖堂の建つ丘の上へ
トリエステの街を一望できるサン・ジュストの丘には、街の守護聖人を奉った大聖堂が建っています。もともとこの丘には、古代ローマの神殿や初期キリスト教の教会があったのだそう。その跡地に独立したふたつの教会が建てられましたが、14世紀にそれらが一体化し現在の形となりました。この大聖堂がユニークなのは、内部にもかつての教会の跡が残っているところ。主祭壇の左右の空間では、独立した教会だった頃のモザイク画を見ることができるほか、祭壇手前の床には、さらに古い5世紀頃のモザイクタイルも残されています。
500年にわたりヴェネツィアの支配下にあったことから、その影響を強く受けた街並みが広がるコペルの街。静かな港町ながら、中世の薫りに包まれる街歩きが楽しめます。
スロベニアの美観都市
船の寄港するコペル近郊に位置するピランの町は、アドリア海でも穴場のリゾート地。アドリア海へと突き出た小さな半島をオレンジ屋根の家々が埋める美しい町並みは、まるで絵本の中から飛び出したかのよう。尖塔が印象的な聖ジョージ・パリッシュ教会の足元に広がるタルティーニ広場は、この町の魅力が凝縮されたスポットです。美しい商家が四方を囲む広場に立つと、この町が刻んできた深い歴史に包まれます。広場に面したカフェやレストランのテラス席に腰掛ければ、雰囲気満点のコーヒータイムが楽しめます。
歴史を伝える旧市街
コペルの旧市街にはヴェネツィア風の建物が建ち並び、中世の面影にふれる街歩きが楽しめます。そんな街のランドマークともいえるのが、54メートルの高さを誇る鐘楼のベルタワーです。およそ200段の階段を登った先にある展望台からは、オレンジ屋根の旧市街とアドリア海が一望できるほか、天気に恵まれれば対岸のイタリアまで見渡せるのだとか。チトー広場に建つプレトリアン宮殿もぜひ訪れたいスポットです。15世紀に建てられ、17世紀に改装された姿をいまに伝える宮殿は、その遥かなる歴史を静かに物語ります。
旧ユーゴスラビアの国のひとつ、人口約65万人の小国モンテネグロ。複雑な入り江にひっそりと佇むコトルは「アドリア海の秘宝」と呼ばれ、世界遺産にも登録されています。
美しき城塞都市を訪ねて
アドリア海の美しいフィヨルドの深部にある古都は、中世都市国家の趣を色濃く残し、「城壁建築の傑作」と称えられます。前方を海、背後を険しい山々に守られた堅固な城塞都市は、敵に破壊されることなく、中世のままの姿を現在に伝えます。 旧市街には、貿易によって豊かになったかつての商人たちが築いた立派な館が立ち並び、大自然や深い歴史も相まったその景観は、時に「世界一美しい湾」と称されるほど。フィヨルドの間を進む美しい入出港シーンにもご注目ください。
歴史と祈りを受け継ぐ街へ
ヴェネチア共和国の統治下で発展した海運の街”ペラスト”の沖には、美しいふたつの小島があります。ひとつは、修道院「スベティ・ジョルジェ」と「岩の聖母」です。岩の聖母は、15世紀頃、ある漁師がこの場所にあった小さな岩礁に聖母マリアのコインが流れ着いているのを見つけ、その岩礁を聖なる土地として十字架を立てたことから始まり、その後船乗りたちが航海の安全を願い、200年間かけて海に投げ入れた岩や石でできたとも言われています。人口約500人程の小さな小さな町・ぺラストには、心静まる素晴らしい風景が広がっています。
その美しさから「アドリア海の真珠」と称される、紺碧の海と堅牢な城壁に囲まれた中世の街。青い海とオレンジ色の屋根瓦に彩られた旧市街を歩けば、長い歴史が垣間見えます。
美しき世界遺産の街
アドリア海に面したクロアチア最南部の都市、ドブロブニク。16世紀に築かれた全長約2kmの城壁に囲まれた美しい街は、世界遺産にも指定されています。標高412メートルのスルジ山頂上から街を見下ろすと、どこまでも広がる大海原とオレンジ屋根の絶景が広がります。映画『魔女の宅急便』のモデルとも言われるその歴史ある景観は、1990年代の旧ユーゴスラビア紛争で壊滅的な被害を受け、一時はユネスコの危機遺産リストに登録されました。市民の手によって少しずつ修復され、紡がれた歴史が未来へとつながります。
地中海の恵みの伝統料理
地方ごとに特色あるクロアチア料理。アドリア海沿岸の街・ドブロブニクの特色は、何と言っても地中海でとれる魚介を使った、新鮮なシーフード料理です。手長エビを使った”ブザラ”シチューや鉄製の鍋に肉や野菜を入れ、鍋を炭で覆う伝統的な調理方法を使った料理”ペカ”など、伝統ある美味しい料理の数々が楽しめます。そして、クロアチアの人々の食卓にとって欠かせない存在なのが、ワイン。紀元前から続くブドウ栽培とワイン造りの長い歴史があるクロアチアワインを、ぜひご堪能ください。
美しきアドリア海の真珠
クロアチアの最南部に位置するドブロブニクは、経験豊富なピースボートクルーズのスタッフの間でも特に人気の高い寄港地のひとつです。もちろんここからは、紺碧のアドリア海に突き出た世界遺産の旧市街へ。ひとたび城壁内に入れば、足下には大理石の石畳、見上げれば街と青空を区切るオレンジ色の瓦屋根――中世そのままの世界が広がっています。そして、旧市街のもうひとつの楽しみは路地裏に。石の階段が続く細い道をあてもなく歩けば、素敵なお店が見つかったり、この街に暮らす人びとの生活が垣間見えます。
[特集記事]紺碧のアドリア海に輝く、要塞都市−
イタリアの"ブーツのかかと"からアドリア海を挟んだ対岸にある、アルバニア第2の都市ドゥレス。キリスト教とイスラム教の文化が息づく街並みと文化をお楽しみください。
世界遺産の街ベラトへ
川辺から丘に向かってオスマン帝国時代の家並みが続く、世界遺産の街ベラト。特徴的な大窓が配された漆喰づくりの家々が斜面に沿って建ち並ぶ独特の景観は、「千の窓の町」と称されます。紀元前に築かれて以降、ビザンツ帝国やオスマン帝国、セルビア王国に支配されるなど複雑な歴史を歩んできた街には、それを証明するようにさまざまな時代の建築様式が混在しています。ベラトでもっとも古い歴史を有するカラサ地区にある、イコン画を展示するオノフリ美術館もぜひ訪れたいスポットです。
欧州の秘境を満喫する
アルバニアは第二次大戦後、1991年まで鎖国政策を取っていたため「欧州の秘境」とも呼ばれ、近年人気の高まっている国です。ドゥレスの街中にある古代ローマ時代の円形劇場は必見です。当時2万人の観客が収容できたとされるバルカン半島最大の劇場は、現在でもまだ半分が未発掘のまま。世界遺産の候補地にも選ばれています。アドリア海に面したこの街では、新鮮な魚介類を使った料理も豊富。対岸のイタリアの影響を受けたシーフードリゾットが名物です。一方、アラブの文化圏に由来するケバブもポピュラーです。