広島から南極へ平和のバトンを繋ぐ。国際会議ATCM48を前に、東京でイベント開催!


広島から南極へ平和のバトンを繋ぐ。国際会議ATCM48を前に、東京でイベント開催!

2026年5月7日、東京・千代田区のセルバンテス文化センターにて、ASOC※とアジェンダ・アンタルティカ、FoEジャパン、ピースボートが共催するイベント「南極から考える自然と平和を守る未来」が開催されました。 今月、広島市で開催される「第48回南極条約協議国会議※(ATCM48)」を前に、世界中から南極の専門家が集まり、「平和と科学」を捧げた無二の大陸・南極の現在の課題と、実際に訪問することの意義を登壇者が語りました。

※ASOC(南極・南大洋連合)
南極大陸およびそれを取り巻く南極海の環境の保護を目的に、世界の30以上のNGOから成るネットワークNGO
※南極条約協議国会議
南極の平和利用、科学的調査、環境保護に関する方針を決定する国際会議。1961年以降、実質的に活動を行う協議国が持ち回りで毎年開催し、日本での開催は32年ぶり。南極の領有権凍結や、観光・生物資源保護といった重要議題について全会一致でルールを策定する。

国際的な視点から語られる南極の真実

冒頭、ASOC のパトリシア・カヴァルカンティ氏による挨拶に続き、ASOC事務局長のクレア・クリスチャン氏、元米国外交官のエヴァン・ブルーム氏が登壇。エヴァン氏はこれまでの自身の南極での経験から「南極条約は世界で最も成功した条約の一つで”平和と科学のための場所”と定めた独自の仕組みである」と評価をしました。「平和と科学だけでなく、現在では環境保護に関わる取り組みについての重要性が増し、多様な国々が協力できる余地のあるのが南極であり、その推進には市民の参加が不可欠である」と訴えました。

日本を代表する先駆者たちが語る「生まれたままの地球」

第2部では、ピースボートクルーズを主催する株式会社ジャパングレイスの山本隆を司会に、日本で南極に深く携わる3名のゲストが登壇しました。 日本の女性記者ではじめて南極観測越冬隊に同行取材をした極地記者 中山由美氏(朝日新聞)は、日本が1959年の条約採択時からの条約署名国の一国である歴史にふれ、「軍事利用も資源開発もされない南極は、65年続く理想的な平和の象徴」と語りました。また、実際に現地を訪れる意義について「人間が手を加えていない、生まれたままの地球の姿にふれると、自分が地球の中のひとつの命であることを実感するとともに、その地球を汚しながら生きていることに気づく」と、自身の心境を明かしました。

多くの人が訪れてこそ、美しい場所は守られていく

続いて、極地クルーズを行うポナン社の伊知地亮氏(ポナン社・日本韓国支社長/極地エクスペディションリーダー)は「科学者だけでなく旅行としても多くの人が訪れてこそ、この美しい場所は守られていくと考えている」と明かし、観光で訪れることが南極保護の一助になると語りました。写真家の水本俊也氏は「かつては南極大陸では降りにくいといわれていた雨が降ることが多くなり、ペンギンの雛の命を脅かしている」と、何度も現地を訪れる中で肌で感じている環境変化を伝えました。

登壇した全員が共通して口にしたのは、「実際に南極を訪れ、その姿を自身の目で、肌で感じることの大切さ」でした。 司会の山本は「南極条約というものがある特殊な環境だからこそ、平和で核のない大陸が守られているということを、ぜひご理解ください。残念なことに今、世界の平和はどんどん崩れ、核兵器使用の可能性すら危惧されています。しかし、核のない平和な大陸を作るという南極条約に日本は最初の署名国として参加をしています。そういった国際協調の一員であるということを知っていただき、南極のことをより好きになっていただければなによりです」と、会を締めくくりました。

貴重な南極での写真を展示

会場内にはこれまで、ピースボートクルーズを含め南極に9回訪れている水本氏が、現地で撮影をした写真も展示されました。レンズ越しに捉えられた、神々しいまでの氷山や愛らしい動物たちの姿。その圧倒的な美しさと、そこにある確かな「生命の輝き」を前に、多くの参加者が足を止め、守るべき大陸の尊さを深く噛み締めていました。

南極の証人として

イベント後のレセプションでは、イベントに参加をした南極クルーズ参加予定者の方が専門家と親睦を深め、地球の未来について語り合う姿が見られました。 自身の目で圧倒的な自然を焼き付けた経験は、きっと単なる旅の思い出以上のものになるはずです。その感動を胸に、帰国後も南極の未来を想い、守り続ける「証人」がひとりでも増えていくように、ピースボートはこれからもかけがえのない南極の価値を伝えていくクルーズとしての歩みを続けていきます。

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