ラ・ロシェル
中世からルネサンス期の街並みを残す、フランス大西洋岸随一の港町。歴史の歩みが刻んだ、攻防の跡が残る旧港周辺の情景は、多くの画家たちを魅了してきました。
3つの塔が迎える風情ある港町
フランス西部の大西洋岸に位置する、美しい港町ラ・ロシェル。フランスの歴史に登場するのは11世紀以降という比較的新しい街ですが、12世紀以降は重要な貿易港となり、城塞が築かれるなど守りを固める要塞都市としての顔も持ちあわせました。見どころの一つである旧港では、いかめしい外観のサン・ニコラ塔、そして14世紀に火薬庫として使われたシェーヌ塔が迎えてくれます。周辺には長年にわたり牢獄として使用されたランテルヌ塔もそびえ、塔の巡回路からはラ・ロシェルが誇る中世の街並みと、旧港の素晴らしい眺めが堪能できます。
中世の面影残る、見ごたえある旧市街
旧港から海岸通りを渡ると、14世紀に建てられた荘厳な大時計門の姿が。この門を抜けると旧市街がはじまり、周囲には石造りのアーケードや木骨組みの家々が並び、見ごたえは十分です。中世の面影を残す建物を巡りながらショッピングを楽しんだり、名物のシーフードに舌鼓を打つのもおすすめです。 ラ・ロシェルには港町にはめずらしくビーチがあり、旧港と橋で結ばれたレ島では大西洋での海水浴が楽しめます。港町とビーチ、双方の雰囲気が楽しめるとあって、フランス中からバカンス客が訪れます。
要塞島フォール・ボワヤール
見どころがコンパクトにまとまったラ・ロシェルの街から足を延ばしたいのが、18km先の沖合に浮かぶ要塞島フォール・ボワヤール。イギリス軍の攻撃を防ぐため、皇帝ナポレオンの命によって建造された要塞です。19世紀半ばにイギリスと同盟を結んだことによりその役目を終えた後は、囚人を収監する牢獄としても使用され、20世紀には砲台すら売り払われたという歴史も。近年は映画やドラマの舞台になるなど、実に数奇な運命を辿りました。船上から眺める要塞の姿は、まるで海に鎮座する戦艦のよう。フランスの歴史の生き証人が、大西洋に静かに佇みます。