カンクン
多くの文明が栄えてきたメキシコの地。特にユカタン半島を征したマヤ文明の軌跡であるチチェン・イッツァでは、壮大な遺跡群が旅人を古代のロマンへと誘います。
マヤ文明の叡智が刻まれた遺跡
ユカタン半島の北部に位置するチチェン・イッツァは、マヤ文明を代表する遺跡群として世界遺産に登録されています。華やかな装飾に彩られた遺跡内は、球戯場や天文台、戦士の神殿などさまざまな見どころにあふれています。中でも一番の注目は、エル・カスティージョと呼ばれる神殿。ピラミッド様式の神殿は4面すべてに91段の階段が設けられ、頂上の1段と合わせると365段、すなわち太陽暦の1年間を表しているといわれています。チチェン・イッツァにはマヤ人の高度な天文学の知識に基づいた建築技法が随所に見られ、彼らの宇宙観や暦への深い理解を物語っています。
文明を支えた聖なる泉
マヤ文明という、非常に高度な文明が息づいていたユカタン半島。しかしながら、文明の繁栄の源となる河川や湖はほぼ存在せず、石灰岩に覆われた地でした。そこで貴重な水源として利用されていたのが、「セノーテ(Cenote:聖なる泉)」と呼ばれる美しい泉。雨が地中へと染み込み地下河川へと姿を変え、石灰岩地帯の特性である陥没した穴にたまったもの――それがセノーテでした。セノーテの他にも、遺跡周辺には鬱蒼としたジャングルや豊かな自然がそのままの姿で残されており、自然環境と深く結びついた文明の様相を、今も訪れる人びとに伝え続けています。
憧れのリゾート
カンクンは、真っ青な海と白いビーチに大型ホテルが建つ、カリブ海有数のリゾートエリア。青のグラデーションが美しい海は透明度も高く、アクティビティも豊富です。ビーチに広がる一面の白い砂は、サンゴの化石が細かく砕けたもので、熱くなりにくいのも特徴。海に面したホテルのプールや、海を望む場所に開けたレストランでも、たくさんの人が憩いの時を過ごしています。大きな葉を茂らせ風にそよぐヤシの木、パラソルの下に横たわる人びと――まさに“パラダイス”を感じるカンクンのビーチは、この街の代名詞ともよべる人気のスポットです。