夢に定年は無い。迷ったら前へ!
「迷ったら行く」精神で、初乗船
年齢を重ねると、新しいことを始めるのが億劫な方もいらっしゃるかもしれません。そして、たいていの方は迷いますね。けれど私は、シニア層ほど動くことが大事だと考えています。思い立ったら、考え過ぎずに行動を起こす。そうすれば、新しい学びや出会いをかならず得られますから。今回ピースボートにはじめて乗って、改めてそう実感しました。
私はいつでも実践が優先です。47歳から高所登山を始めてからも、家族に「ちょっと行ってきます」と伝えては、世界の山々を登っていました。息子には、「ちょっと、じゃないでしょ? まるでスーパーに買い物に行くように言うけど」と言われていましたが、2005年には世界七大陸最高峰登頂を達成しました。納得するまで突き進むタイプですね(笑)。
乗船したのは、2025年12月に出航したVoyage122。南半球をまわる航路で、友人とふたりで参加しました。乗船理由は、船上で77 歳の喜寿のお祝いをしたかったから。また「青を追求しよう」という思いもありました。私は今アーティストとして絵を描いていて、使う絵具のなかで青が一番好きなんです。青は地球、空、そして海の色。空と同様、海の色は毎日変わるんですよ。その様子が素晴らしくて魅了されています。それから、私はバックパッカーとしていろいろな国を旅した経験があるのですが、寄港地には、これまで行ったことがない場所も含まれます。それらの国を訪ねてみたい思いもありました。
サルサや英会話で自然に仲間が
船上では、規則正しい生活を送りました。スポーツのクラスや語学教室など複数のプログラムが毎日開催されているので、朝は「健康サルサ」で体を動かし、そのあと朝食をとり、スペイン語や英会話のクラスに出席し、水彩画のデモンストレーションに参加しました。また日本語クラスのボランティアに参加し、いろいろな国籍の人とふれ合いました。ジムで汗を流すことも日課でしたね。午後は部屋で絵を描くことが多く、マイポストカードをつくって船内で知り合った友人へのお土産にしていました。
クルーズは行き先が決まっています。寄港地でのスタッフの方々のサポートは万全で、何も困ることはありません。痒いところに手が届き「至れり尽くせり」といったところです。それは、登山と違い、戸惑いを感じることも。山は危険が伴う凝縮された空間です。登りながら、自分を彫像している感覚を抱きます。その緊張と、下山後の解放感がいいんですね。クルーズはその反対で、常にゆったりした時間が流れています。私は規則正しい日常を送ることで体調を整えました。そのうえで、興味のある語学クラスや講座、講演会に参加するうちに、自然と仲間が増えました。
外国人との交流で多様な発見
これまでの人生はひとり旅が多く、友人は現地調達で、旅の感想を誰かと話すことはありませんでした。それがピースボートでは寄港地での感動を共有できます。また、船内で聴いた講座の内容について、意見を交換するのも面白いです。あるとき、「無国籍」や「世界情勢」についての講演があり、バックグラウンドが違う方々と考えを交わせたのは、とても興味深かったですね。問題を提起してくれる船でもあると思いました。
喜寿のお祝いは、アフリカのモーリシャス共和国にもうすぐ着くという頃、インド洋上で行いました。誕生日が偶然にも同じで、のちに「船内ファミリー」と呼ぶことになるお友達も一緒に、レストランで美味しいワインをいただきました。船の上では陸地で暮らしていたら出会えない方々と知り合えて、思わぬ方向へ展開するのも楽しいです。仲良くなった台湾のお友達とは、寄港地の基隆で七星山という山に登ったんですよ。
そのほかにも、船ではさまざまな方の素敵な姿を拝見しました。たとえば、船尾で海の航跡を静かに眺めていらっしゃるご夫婦の後ろ姿とか。私は早々に離婚をしたので、私にはない人生をこのおふたりは送っていらっしゃる。幾多のことを乗り越えた今、ご自分たちが歩んできた道を振り返っているのかなと思うと涙が出そうになりました。ご夫婦の姿を絵にしたいとも思いましたね。
自分でも講演を、満席で感激!
船上では、周りから何かを受け取るだけでなく、自分でも講演を行う機会をいただきました。知人に「3ヶ月の間にプレゼンをする場をもったら?」とすすめられ、はじめは「自主企画」枠に企画書を送ったのですが、ピースボートの企画として開催していただけることになりました。そして当日を迎えると、定員350名の広い会場が満席! 講演では、登山で学んだ体調管理やストレス解消法をもとに、船上での心身の整え方について話しました。
また、私が登山愛好家である以外に、バックパッカーの経験や、タイで日本語教師をしていたこと、70歳を目前に大学に再入学し美術を学んだこともお伝えして、「一歩進めば確実に前に進むんです」などの言葉を発したところ、講演を聴いてくださった方々やピースボートのスタッフの方が感激してくれて。しかも、講演が終わったあとに、ひとりの参加者の方に相談されたんです。「もう一度絵を勉強したいので大学に入りたいが、通信教
育とキャンパスに実際に行くのは、どちらがいいと思いますか?」と。
私は、「キャンパスに行ってください」と即答しました。絵の上手な若者ばかりが集まっているので最初は挫折感を味わうかもしれません。でも、それを乗り越えることで自分の絵の力は積み上がっていくし、若者の新鮮な感性に直接ふれると勉強になりますよ、と。
「でも」は言い訳。迷ったら行く
講演会で話したことに、こんなにも多くの方が興味をもってくださるとは思いもしませんでした。人前で話すのが苦手なので、スピーチは勇気が要ります。「誰かひとりに、思いを届けられるといい」と思い、実行に移しました。反応と共感は、行動を起こしたからこそ得られた経験ですよね。私の鉄則は「迷ったらやる/ 行く」です。船も「迷ったら乗る」でしょう!
歳を経ると先が見えてきますが、夢に定年はありません。ピースボートの英語講師が「Age is just number」(年齢は数字に過ぎない)とおっしゃっていました。私も本当にそう思います。まだまだ動ける!と確信できたので、これからも年齢に関係なく、何事も楽しんで前に進んでいきたいと思っています。例えば、アラスカの友人を再訪したり、ネパールへのトレッキングなど、あれこれ思案中です。
久末眞紀子 / 登山愛好家・アーティスト
1995年にキリマンジャロに登頂。以降10年間で世界7大陸の最高峰を制覇し、国内3人目の「女性セブンサミッター」に。その後はタイの高校で日本語教師を務め、2020年には札幌大谷大学芸術学部美術学科を卒業。現在はアーティストとしても活動している。著書に『世界のてっぺんに立った!熟年女性7大陸最高峰制す』(北海道新聞社)。
文・構成 田中亜希
パンフレットをお届け!
今資料請求をいただいた皆さまには、世界一周クルーズがもっと楽しみになる情報が満載のパンフレットをお送りします。この機会にぜひ資料をご請求ください。