癒やしを求めて古今東西-1
ほとんどの人がスマホを所有し、SNSで情報交換をしている昨今。「面白いもの」「新しいもの」といった情報も、SNSを通じて一気に拡散されていきます。この新しい時代の情報発信に取り組む瞳さんに、旅がもつ魅力についてお話いただきました。
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瞳/Hitomiさん
サウナと温泉をめぐり全国を旅しながら、その魅力を動画で配信するインフルエンサー。ホテルやリゾート施設のSNS運用や動画コンテンツ制作、ライター、フードスタイリスト、シンガーソングライターと幅広く活躍中。
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バンド活動から生まれた旅への憧れ
小さい頃は絵を描いたり何かに没頭するのが好きなタイプでした。と同時に、なぜか声もすごく大きかったんですよ。だから学校では人前で喋る役割を任されることも多くて、「将来、声にまつわる仕事をするのかな」なんて漠然と考えていました。高校入学後にバンド活動をはじめ、コンテストで入賞や優勝も経験。とある軽音楽系コンテスト出場をきっかけにスカウトされました。そこから事務所に所属してガールズバンドを組み、ライブハウスでも歌ったり、全国ツアーもやらせてもらえるように。今思えば、その頃から「いつかすべての都道府県に行ってみたい」という思いが芽生えたのかもしれません。
ツアーで地方に行くと、同じ日本なのにライブ中のお客さんの雰囲気も全然ちがうんですよね。食べものにも特色があるし、街の空気感もまったくちがう。ボーカルで作詞作曲も担当していたので、特に忙しかったけど、エネルギーは有り余っていて(笑)。イベンターさんに食事に連れて行ってもらったり、名所を案内してもらったり、ツアー中はその土地の文化にふれる時間でもありました。海外公演も経験したのですが、上海に行ったときは普段の日本でのライブと比べて、とにかくお客さんの熱量がすごくて。言葉は通じなくても、演奏が始まるとワーッと盛り上がるんです。そういった反応の違いも印象的でしたね。
得意のものづくりで新しい世界に挑戦
音楽をやるために20歳で東京に出てきて、10年ぐらいずっと音楽一本でした。でも次第に「このままずっと音楽だけやっていくのか?」という悩みも出てきて。周りの友だちのような社会人経験にも興味があったので、もともと好きだった料理の世界へ飛び込みました。当時は、レシピ動画をはじめとするショートの早回し動画が流行っていた時期。「ものづくり」は小さい頃から好きだったし、これは自分のツールにもなるなと思い料理動画を作る仕事を始めました。これまでずっと音楽だけだった日々。それを、平日は料理動画の仕事、週末だけ音楽をやるというスタイルに変えてみたんです。
思いもよらぬ不調に苦しんで
動画作りは楽しくてやりがいも感じていました。でも今までと生活スタイルも全然違うし、慣れないこともいっぱいあって。そうこうしているうちに、頭痛や首の痛みが続くようになり、気圧の低い日や雨の日は立ち上がれなくなってしまうほど症状がひどくなりました。病院に行って脳やいろんな箇所を調べても異常は見つからなくて、「どうすれば治るんだろう」とその頃は試行錯誤でしたね。それで自分なりに調べてたどり着いたのが、『自律神経を整える』ということでした。でもそこからサウナへの道が続いていくなんて、当時は思いもしませんでしたけどね。
水風呂で「これだ!」
体調を崩していた時期にいろいろ試したときに、「どうやら水風呂がいい」というのがわかって。もともと銭湯やサウナは好きだったのでたまに通ってはいたのですが、あるとき水風呂にも入ってみたんですよね。そしたら、水風呂から出た瞬間にふわーって全身に血が巡ったのを感じて。身体の輪郭が分からなくなるような――そんな感覚でしたね。俗にいう“ととのう”というか、「これだ!」と思って。今まで病院に行っても治らなかった原因不明の不調が、本当にスカーっとしたように治りまして。そんなことから温冷交互浴にはまって、いろんな銭湯やサウナに通うようになったんです。
サウナに呼ばれて日本全国へ
私、それまではインスタグラム(以下、インスタ)ってあまり使ってなかったんです。でも行った銭湯のことやサウナの温度、入ったときの空気感などをメモ代わりにインスタに投稿していたら、それを見た銭湯関係のメディアの方から、「うちで文章を書いてくれませんか」と声をかけてもらって。そこから銭湯ライターとしても活動するようになりました。ちょうど世の中にサウナブームが到来した頃でもあり、同時期に銭湯仲間とともに始めた「サウナ旅」もインスタで発信していたら、徐々に全国各地のサウナに呼んでいただくようにもなって。気づけば“サウナで旅する”ようになっていました。
お風呂のパワーってすごいんです。病院で検査しても悪いところがなかったのに、お風呂に入って自律神経を整えたら、私は元気になった。それに、どれだけ疲れていてもお風呂に入るとほっとしますよね。だから元気のない友だちがいたら、銭湯に連れて行くこともあるんです。心が解放される感じがしますし、そういう“効能”を人に広めたくなる。銭湯やサウナの発信を続けていたら、気づけばいろんな場所を旅していた――自分でも思いもよらないかたちで、バンド活動時代に夢見た「全都道府県制覇の旅」を今、実現している感じです。
メッセンジャープロジェクトのメンバーとして、2023年、2024年にピースボートクルーズに乗船した瞳さん。
後編では、瞳さんのはじめてのクルーズ旅行で感じたことを伺います。
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