ピースボートでゆく世界の寄港地-ベラト・ドゥラス・ティラナ編-
99.9%の日本人が一生訪れることのないといわれる国、アルバニア※。バルカン半島の複雑な歴史に翻弄され、かつては国家の政策で「鎖国」の時代も歩んだこの地は、長きに渡り現地の情報を知ることが難しく、ヴェールに包まれてきました。
経済自由化ののち成長を続け、活気にあふれた街は今、ヨーロッパからの多くの観光客でにぎわっています。1970年代の時代を映した建築物を残しながら、街中には現代のエネルギーに満ちたコントラストを感じることができるアルバニアの「今」の熱量を、肌で感じてみませんか。
※JNTOの統計によると日本人の年間訪問者は数千人。日本の人口比で考えると、一生で訪れる人はわずか0.1%にも満たない計算です。
千の窓が見つめる、時が止まった町
「千の窓の町」という美しい異名を持つベラト。アルバニア屈指の世界遺産として知られるこの町は、緑豊かな山の斜面を埋め尽くすように、真っ白な壁と無数の窓を持つ家々が重なり合い、その頂には城壁に囲まれた巨大な「ベラト城」がそびえ、数世紀もの間、町の営みを見守り続けてきました。 オスマン帝国時代の面影を色濃く残す石畳の路地は、キリスト教とイスラム教、異なる文化が手を取り合い共生してきた寛容な歴史を持ち、今も静謐で美しい時間が流れています。
山頂にそびえるベラト城の最大の特徴は、城壁の中に今も人びとが暮らし、日常がともにあること。石畳の路地には洗濯物が揺れ、車が走り、子どもたちの声が響きます。歴史を遠い過去の遺物として祀るのではなく、日々の暮らしに溶け込ませてきた逞しい城内。何世紀も守り抜かれてきた「生きた城塞」を歩く時間は、タイムスリップしたような没入感を与えてくれます。
歴史を刻んだ面影を残す石壁の傍らで一息つくと、眼下にはオスミ川の流れと壮大な自然、そして傍らには「千の窓」の町並みが広がります。石造りの城下町を歩いた後、吹き抜ける風を感じながら、「自然の音」に包まれる。この場所の静謐な空気に身を委ね、頭の中を空にしてみる。何世紀も変わらないこのパノラマは、訪れる者に心からの安らぎを与えてくれます。
対岸のゴリツァ地区から眺めるマンガレム地区。山の斜面を埋め尽くす白壁と無数の窓が、川を挟んでこちらを静かに見守っているような、ベラトならではの景観が広がっています。陽が落ちると、それらの窓にひとつ、またひとつと明かりが灯り始めます。夕闇に沈む山肌を彩る窓の明かりは、暗闇にそっと置かれたキャンドルのように、街の営みを温かく照らしています。
潮風が運ぶ、古都の歴史と開放感
アドリア海の穏やかな波音に包まれたドゥラスは、3000年以上の時を刻み続けてきたアルバニア最古の港町です。数千年前、ローマ時代から続く壮大な遺跡が街の中に溶け込み、すぐそばには街の輪郭を縁取るように白砂のビーチが続きます。太陽を謳歌する人びとが集い、モダンなリゾートの活気があふれるこの街は、古い歴史の重みと、リゾート地ならではの軽やかさが潮風とともに心地よく共演する、この国随一の開放的なエリアです。
街のど真ん中に突如として現れる円形劇場。2世紀に造られたこの巨大な遺跡は、今もなおその姿を綺麗に残し存在感を放っています。数万人を収容したかつての舞台は、近隣の家々に囲まれ、遺跡の外周をめぐれば、古代の石壁を掠めた潮風がそのまま現代の窓辺へと吹き抜けていき、遠い過去と現在がこの境界のない空間でともにあることに、不思議な感覚を覚えます。
遺跡から少し歩けば、そこには他の海とは一味違う、少し緑がかった透明な海。海岸沿いにはカフェやレストランが軒を連ね、世界中から訪れる旅行客や、地元の家族連れがサンダル履きで笑い合う、等身大の太陽が似合う場所があります。波打ち際を散歩したり、テラスで海を眺めたり。頭を空にしてエメラルドグリーンに浸る時間が、旅の栞に瑞々しい色を添えます。
港町ならではの新鮮なシーフードはもちろん、この街では大地が育んだ滋味深い味覚にも出会えます。伝統料理「タヴ・デウ」は、じっくり煮込んだ牛肉やチーズが熱々の土鍋の中で溶け合い、香ばしいハーブとともに濃厚なコクを生み出します。焼きたてのパンですくい上げ頬張れば、素材の旨みがダイレクトに伝わり、素朴で力強いその熱が身体の芯まで満たしてくれます。
首都ティラナ、変革のエネルギー
アルバニアの首都ティラナは、かつての冷戦時代以降静まり返った街並みを、色彩豊かな外壁と街づくりで塗り替えてきた情熱的な街。長く閉ざされていた時代の名残は、現在では都市のユニークなアクセントとなり、それを包み込むように新しい文化が芽吹いています。 過去の歴史の歩みを今に残し、その武骨な質感さえも新しい文化の一部として溶け込ませる。そんな再生の手法に、ティラナ独自のたくましさと、未来へ向かう確かな呼吸が、街のいたるところで感じられます。
街の中心に位置するスカンデルベグ広場。閉ざされた時代、厳しい管理下にあったこの地も、今は家族連れや若者たちが集う開放的な市民の憩いの場です。広大な石畳の向こうには、モスクや時計塔、国立歴史博物館が並び、この国が歩んできた激動の歴史を静かに、けれど明るく物語っています。どこまでも続く空の広さを感じるこの場所は、ティラナを感じる旅の出発点です。
街中に突如現れる、キノコのような形のコンクリート。鎖国時代に造られた核シェルター「バンカート」です。ひんやりとした地下通路を進むと、当時の緊迫感を伝える音響や映像、気鋭のアーティストによる作品が次々と現れます。暗く冷たい地下空間では、冷戦時代の記憶、そして平和の尊さと、過去を乗り越えようとする今の街の強さが胸に迫ります。
喧騒を離れてこの国の日常を感じたいなら、ティラナ市民に愛される「レイクパーク」へ。市内からほど近いこの公園では、広大な湖を囲むように緑豊かな遊歩道が続き、ジョギングをする若者やベンチで語らう老夫婦など、人びとが思い思いの時間を過ごしています。アルバニア各地で見かけるこうした湖畔では、等身大の日常に触れ、穏やかな風を感じることができます。
過去、指導者の権威を象徴し、市民が足を踏み入れることさえ禁じられていた巨大な記念碑。今では街を象徴する文化拠点へと生まれ変わり、壁面には階段が設けられ、誰でも頂上まで登ることができます。最上部からティラナの街並みを一望すると、そこには特別な誰かのためではない、人びとの暮らしが広がり、その景色はこの国の明るい未来を象徴しています。
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