クルーズコレクション

“神々の住む島”の伝統と最先端の取り組み

2020年12月4日

バリ島(インドネシア)

アジアを代表するリゾート地として知られ、一度訪ねるとその魅力の虜になる人も多いバリ島。美しいビーチはもちろんのこと、自然と調和した歴史ある寺院、青々とした稲が一面に茂る風光明媚な棚田、色とりどりの衣装に身を包んだ伝統舞踊など、独自の文化や風習が数多く残る島は「プラウ・デワタ(神々の住む島)」と称されます。 さらに、2023年春のピースボートクルーズでは、バリ島寄港前の洋上にて金環皆既日食の観測を予定。神秘的な天体ショーの観測にも期待が高まります。さあ、数多くの魅力に彩られた美しき島をめぐる旅に出掛けましょう。

文・構成 / 編集部 写真 / PEACE BOAT

"神々の住む島"の伝統と最先端の取り組み
Ⓒ Kataoka Kazushi

島独自の文化にふれる

イスラム教徒が多数を占めるインドネシアですが、首都ジャカルタがあるジャワ島の東側に位置するバリ島には、ヒンドゥー教と独自の土着信仰が融合したバリ・ヒンドゥー教が根付いています。そんなバリの文化を代表する風習のひとつが、神々への感謝の気持ちと祈りを込めた「チャナン」です。これは、ヤシの葉やバナナの葉で編まれた小皿の中に、赤や白、オレンジ、紫など色とりどりの花々やお香が盛られたお供え物。街のいたるところに供えられたチャナンを目にすれば、島に息づく信仰にふれられることでしょう。

"神々の住む島"の伝統と最先端の取り組み

神話を基にした舞踏劇「ケチャダンス」も、バリ島を訪れたら楽しみたい芸能のひとつです。ケチャダンスで演じられるのは、古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」。ヴィシュヌ神の生まれ変わりや魔王の化身、猿の神様などが登場する神話のストーリーを、きらびやかな衣装に身を包んだダンサーがダイナミックに演じます。そしてケチャダンスを特徴づけているのが、ダンサーの周囲を幾重にも取り囲む男性コーラスの輪。数十名のコーラス隊によるリズミカルで分厚い合唱が、舞踏を大いに盛り上げます。踊りの妖艶さも相まって舞台は独特の高揚感に包まれ、幻想的な物語の世界にどんどん引き込まれます。

"神々の住む島"の伝統と最先端の取り組み

島の絶景スポットへ

バリ島中西部に位置するタマン・アユン寺院は、バリを代表する6大寺院の中でも特に美しいといわれています。「美しい庭園」を意味する寺院の名の通り、水路に囲まれた境内には茅葺きの屋根が何重にも積み重なった「メル」と呼ばれる塔が建ち、凛とした佇まいは訪れる人びとを魅了します。 タマン・アユン寺院は水の恵みや豊穣に感謝を捧げる場でもあり、周辺の棚田に流すための水を管理する施設としての役割も果たしています。そのため「水の神殿」とも呼ばれており、寺院の景観と水利システムがユネスコに評価されたことから世界遺産にも登録されています。

"神々の住む島"の伝統と最先端の取り組み

棚田が広がる豊かな農村風景も、バリ島ならではの絶景スポットです。緑深い山々と渓谷が連なるジャティルイの丘陵地帯には、美しい棚田が一面に広がっています。その景観もさることながら、この棚田を世界的に有名にしているのは「スバック」と呼ばれる独自の水利システム。スバックは、神、人、自然の調和を重んじるバリ・ヒンドゥー教の哲学を基に築かれた伝統的な水利システムで、1,000年以上の歴史を誇ります。その文化的な価値から、この棚田も世界遺産に登録されています。田んぼのあぜ道を散策すれば、この地に連綿と継承される信仰と暮らしの営みを肌で感じられるでしょう。

"神々の住む島"の伝統と最先端の取り組み

バリ島随一の人気を誇る観光地といえば、タナロット寺院も外せません。ここはタマン・アユン寺院と共にバリの六大寺院にも数えられており、海に浮かぶ巨岩の上に建立されていることから別名「ロックテンプル」と呼ばれます。この寺院の魅力は、なんといってもそのロケーション。特に、水平線の彼方へと夕日が沈むひとときは得も言われぬ美しさです。空と海が徐々にオレンジ色に染まる絶景を目に焼き付けようと、夕暮れどきには数多くの人びとでにぎわいます。また、寺院へと至る参道も見どころ。レストランや屋台、お土産屋さんなどが軒を連ねており、お店を覗きながら歩いているだけで楽しいエリアです。

"神々の住む島"の伝統と最先端の取り組み
Ⓒ Kataoka Kazushi

大自然の中の学校

バリ島中部・ウブド近郊に広がるジャングルの奥深くには、世界一環境に優しい最先端の学校「グリーンスクール」があります。この学校は「持続可能な環境」を目指し、2008年に創設されました。”緑の学校”という名前の通り、可能な限り植物や自然由来の物質でつくられています。特に、竹を組み合わせて造られた校舎は、天井が高く壁もないためとっても開放的。もちろん、階段や机、イスなどもすべて竹製です。2014年には前国連事務総長の潘基文氏も視察に訪れるなど、世界中で注目を集めています。ピースボートクルーズではバリ島寄港の際、グリーンスクールを訪問するオプショナルツアーも行っています。

"神々の住む島"の伝統と最先端の取り組み
Ⓒ Kataoka Kazushi

グリーンスクールでは、小学生から高校生まで世界中約30ヶ国から集まった400名ほどの子どもたちが学んでいます。幼少期から緑あふれる環境で生活することで、地球環境や持続可能性について深く考える子どもに育つのだそう。排せつ物を微生物の働きによって分解・処理し堆肥化するバイオトイレを導入したり、敷地内の農場で有機野菜を育てたりと、循環型の環境下で生徒たちはのびのびと生活しています。 自然豊かな緑の学校で世界最先端の取り組みにふれる——バリ島をめぐる旅は、地球の未来について考える大切な機会でもありました。

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