クルーズコレクション

パタゴニアの原風景と出会う

2022年4月22日

(チリ、アルゼンチン)

パタゴニアの原風景と出会う

南米大陸の南端、アルゼンチンとチリの両国にまたがる広大なパタゴニア地域。南半球をめぐるピースボートクルーズでは、南米大陸の南端に浮かぶフエゴ島にある街ウシュアイアへ寄港したのち、悠久の時が創り出した壮大なフィヨルド地帯をクルージングします。
針のように鋭くそびえる山々、静謐な空気を切り裂き轟音を響かせて崩れ落ちる氷河、そんな氷河から溶け出した水が注ぎ込む河川――およそ110万平方キロメートルにも及ぶ広大なエリアには、私たちがまだ見ぬ地球の美しき姿が広がっています。

文・構成 / 編集部 写真 / PEACE BOAT

パタゴニアの原風景と出会う

パタゴニアフィヨルドの中へ

南米大陸の南緯40度以南に広がるパタゴニア地域。その地名は、航海者のフェルディナンド・マゼランがこの地を旅した際に出会った先住民族に由来しています。1520年にこの地を訪れたマゼランが、足が大きく毛皮をまとった先住民の姿を見て「パタ(pata)足」、「ゴン(gon)大きい」と呼び、それが語源となったのだと言われています。
このエリアの魅力は何といっても、氷河が刻んだ荒々しいフィヨルドの景観と幻想的な輝きを放つ氷河。フィヨルドは複雑に入り組んだ海の難所でもあるため、クルージングの際にはフィヨルド専門のパイロット(案内人)が同乗し、船の針路を取ります。

パタゴニアの原風景と出会う
© Stacy Hughes

船は針の穴に糸を通すかのように、狭いフィヨルドの内部を進んでいきます。デッキから見えるのは、頂上に雪を抱く美しい山々、複雑に入り組んだ海岸線、緑の大地、流れ込む氷河――大自然が創りだす色彩のコントラストは、言葉を失うほどの美しさです。
フィヨルド遊覧中は随所で船内放送が入り、見どころをお知らせします。「前方、右舷側に大きな氷河が見えてきました……」そんなアナウンスを耳に、大勢のギャラリーは一斉にその方向へと移動します。船の進路によって刻々と表情を変えるパタゴニアの風景を一瞬たりとも見逃すまいと、じっとその光景を目に焼き付けます。

パタゴニアの原風景と出会う
© Katsuta Airi

船の行く手には、パタゴニアフィヨルドの中でも一番の絶景ポイントと言われる「ピオ11世氷河」が迫ってきました。海に落ち込む最先端の幅は4キロメートル以上、氷河の源流となる山の懐まではおよそ数十キロメートルと、とてつもなく大きな氷河です。
氷河に近づくと、ギザギザと切り立った氷が幾重にも連なっていることがわかります。氷河の内側から宝石のように輝く透き通った青色は、まさに地球が生んだ芸術。複雑な海岸線と急峻な山々、そして静寂に包まれた海が創り出すフィヨルドの大パノラマと相まって、神秘的なまでの美しさです。

パタゴニアの原風景と出会う

世界遺産の青き氷河地帯

アルゼンチンとチリの両国にまたがる非常に広大なパタゴニア地域には、合わせて30ヵ所の国立公園が存在します。なかでもアルゼンチン南部、チリとの国境沿いに位置する世界遺産のロス・グラシアレス国立公園は、パタゴニアを訪れたらぜひ足を運びたいスポットのひとつ。スペイン語で「氷河群」を意味するロス・グラシアレス国立公園はその名の通り、大規模な氷河が47、小さな氷河は200以上とも300以上ともいわれる世界有数の氷河地帯です。その面積は、南極大陸、グリーンランドに次いで世界第三位を誇ります。

パタゴニアの原風景と出会う
© PEACEBOAT

太平洋の湿気を含んだ風がアンデスの山々にぶつかり、大量の雪を降らせ、堆積した雪が長い期間をかけて圧力で押し固められることによって形づくられるパタゴニアの氷河。ロス・グラシアレス国立公園の一帯は冬季の最低気温が比較的高いため氷が溶けやすく、再氷結を繰り返しながら、速い速度で移動します。
またこの辺りの氷河は、堆積した雪によって長い時間圧縮されたことにより、氷の中に空気をほとんど含みません。気泡のない透明な氷は青い光だけを反射して他の色を吸収してしまうため、私たちの目には美しい青色となって映ります。

パタゴニアの原風景と出会う

今も成長を続ける”生きた氷河”

ロス・グラシアレス国立公園に数ある氷河のなかでも、アルヘンティーノ湖へと流れ込むペリト・モレノ氷河は、中央部で1日に約2メートルも移動するほどの動きの活発さから、”生きた氷河”と呼ばれる注目のスポットです。地球温暖化の影響によって大半の氷河が後退を続ける一方、ペリト・モレノ氷河は依然として1万年前以上と同様に成長と崩壊を繰り返し、ほぼ大きさを変えていません。
そしてこの氷河の最大の見どころは、氷河先端部の大崩落。ゆっくりと押し出された巨大な氷壁の一部が轟音とともに湖へ崩落するダイナミックな光景は、訪れたすべての人を圧倒します。

この記事を見ている方におすすめのクルーズ

クルーズ一覧用
早得
2024年12月 出航 船名:パシフィック・ワールド号

地球一周の船旅 Voyage119

南極航路 アフリカ&南米コース
クルーズ一覧用
早得
2025年12月 出航 船名:パシフィック・ワールド号

地球一周の船旅 Voyage122

南太平洋・南米・アフリカコース
TOP