クルーズコレクション

ピースボートでゆく世界の寄港地-ハンブルク編-

ハンブルク(ドイツ)

ドイツ最大の港湾都市ハンブルクは、波止場の活気と洗練された都会の雰囲気が溶け合う魅力的な街です。その歩みは、中世ハンザ同盟の時代から大戦の傷跡、そして現代の都市計画に至るまで、一本の線で繋がっているかのようです。歴史の層を積み重ねていく類を見ない街づくり。そんな、歴史と未来、そして光と影が交差する街を歩きました。

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Yoshida Taisuke

世界遺産の倉庫街

「世界への玄関口」ハンブルクの象徴、世界遺産「シュパイヒャーシュタット(倉庫街)」。ネオ・ゴシック様式の赤レンガ建築は、ドイツ建築特有の重厚な様式美を湛えています。19世紀末、自由港としての機能拡張のために、2万人以上の住人を立ち退かせ、住宅地を取り壊して建設されました。軟弱な湿地帯を巨大な倉庫群とすべく、ヴェネツィアの街づくりと同じ工法を採用。約350万本ものオーク材の杭を地中深く打ち込み、その上にレンガの城塞を築き上げたのです。

1 聖カタリーネン教会

堅牢な倉庫街を見守るように、運河のすぐそばに佇む聖カタリーナ教会。塔の先端に「金の王冠」を戴くこの教会は、ハンザ同盟の時代から、港で働く船乗りや造船職人の守護聖人として親しまれてきました。ここはクラシック音楽ファンにとっての聖地でもあり、1720年にヨハン・セバスティアン・バッハがこの地を訪れ、教会のオルガンを演奏したことでも知られています。

2 運河と橋

直線的で統一感のある赤レンガのシルエットに鮮やかなアクセントを添えるポッゲンミューレン橋をはじめとする象徴的な橋の数々。水面に建物が映り込む様子は、絵画的な美しさです。欄干には、世界各地から訪れた恋人たちがかけた「愛の南京錠」が並んでいました。現代的な色とりどりの南京錠と、世界遺産の赤レンガの風景が、旅のワンシーンを彩ります。

3 ティーショップ

二つの運河に挟まれた半島にある「Wasserschloss(水の城)」という美しい名の紅茶専門店。扉を開けると、天井まで届く棚に世界中から集められた250種類以上の紅茶が所狭しと並んでおり、その香りが店内に満ちています。赤レンガの街歩きの後は、ここでひと休み。香り高い紅茶とデリを味わいながら、都市の歴史と味覚が溶け合う優雅なひとときを。

Yoshida Taisuke

かつての「モノ」のための港を、「ひと」のための場所へ−−

住居不足という課題を抱えるハンブルク市では、役割を終えた古い港湾地区を再生し、都心部を40%も拡大させています。そんな欧州最大級の都市計画プロジェクトの舞台となっている再開発地区「ハーフェンシティ」はいま、世界中の注目を集めています。 この欧州最大級のプロジェクトは、屋外の共有スペースや公園、テラス席を設けたレストランが多いのも特徴で、旅人も地元の住人も、水辺の風を感じながらゆったりとした時間を共有できる開かれた街が広がっていました。

1 シンボル「エルプフィルハーモニー」

ハーフェンシティのランドマークとして建てられたのが、コンサートホール「エルプフィルハーモニー・ハンブルク」です。下部の外壁は、レンガ作りの倉庫をそのまま活用。その上に、波をイメージした曲面ガラスのモダンデザインが印象的です。中層にある展望台へは無料で入場可能です。上層階は「音楽とひとつ屋根の下で暮らせる」アパートメントとしての顔も持ち合わせています。

2 社会的バランスの実現

社会的な多様性を確保するための取り組みとして、ハーフェンシティ内のすべての住宅は、その3分の1を公営住宅とすることが義務付けられています。高所得者層だけでなく、若年ファミリーや学生、高齢者、そして低所得者層が同じエリアに暮らすこと。さまざまなバックグランドを持つ人が行き交い、「活気」を生み出している様子は、このエリアを歩くだけでも感じられます。

3 「誰一人取り残さない」を体現するアート

街角で、カラフルな巨大な壁画と出会いました。これはホームレス状態にある人や生活困窮者が、雑誌を路上販売することで収入を得て、自立をめざすためのプロジェクト、雑誌『ヒンツ&クンツト』の創刊30周年を祝して描かれたものです。「都市の中で置かれた立場に関わらず、人びとが忘れられることなく存在している」という共生のメッセージを静かに、けれど力強く発信しています。

4 サステナブルな都市のモデルとして

ここでは、ただ新しいビルを建てるのではなく、環境への負荷を最小限に抑え、「次の世代に美しい地球を残す」ことを中心に据えているのだとわかります。地区内では、太陽熱や地熱、バイオマスといった再生可能エネルギーを徹底的に活用し、建物の建設から運営、解体までの二酸化炭素排出量を厳しく評価する独自の環境認証システムまで導入。持続可能な未来都市のあり方を私たちに示してくれます。

Yoshida Taisuke

中世ヨーロッパへタイムスリップ

市庁舎やその周辺には、まるで中世を思わせるクラシカルな景観が広がっています。白亜の回廊「アルスター・アルカーデン」は、お洒落なカフェや商店が軒を連ねる憩いの場所。目の前には壮麗な市庁舎、そしてハンブルク市民が愛する「アルスター湖」へと続く水路が輝きます。また、アルスター・アルカーデンとブランド街「ノイアー・ヴァル」をつなぐ、「メリン・パッサージュ」は小さいながらも一見の価値あり!ハンブルク最古のショッピングアーケードであり、壁や天井に描かれたアール・ヌーヴォー様式の優雅な装飾画は必見です。

1 宮殿のように美しい市庁舎

運河沿いの風景の中で圧倒的な存在感を放っているのが、ネオ・ルネッサンス様式の壮麗な「ハンブルク市庁舎」です。 精緻な彫刻で飾られたファサード(正面)や、ロビーの美しい天井アーチ装飾からは、ドイツの職人技と芸術の粋、そして当時のハンブルクがいかに貿易・商業で成功し、繁栄していたかが伝わってきます。まるで宮殿のような、重厚でクラシカルな雰囲気に包まれた場所です。

2 ドイツ・ハンブルクの食体験

散策でお腹が空いたら、ドイツらしい食体験も欠かせません。「カリーヴルスト(カレー風味のソーセージ)」は、駅前のスタンドなどで手軽に食べられる、市民の定番のファストフードです。
レストランでは「塩漬け肉とジャガイモの煮込み」や、香ばしい「バターとベーコンでソテーしたカレイ」など、味わい深い本場のドイツ伝統料理も楽しむことができます。

3 ビアガーデンで乾杯!

ドイツ体験のハイライトといえば、やはり「ビアガーデン」です。緑豊かな公園や広場、テラス席のあるバーにテーブルが並び、多くの人びとで賑わいます。ハンブルクは「ビールの首都」として栄えた歴史があり、かつては500以上の醸造所があったほど。現在も、大手メーカーだけでなく、小規模なクラフトブルワリーが多数存在し、多様なビールが生まれています。

Yoshida Taisuke

足元に刻まれた記憶

ドイツの街の道に埋め込まれた10cm四方の小さな真鍮製のプレート「つまずきの石(ストルパーシュタイン)」は、ナチス・ドイツによるホロコーストの犠牲となった人びとが最後に暮らしていた場所に、人物の名前、生まれた場所、亡くなった年と場所などを刻んだ追悼のモニュメントです。 ふと気がつくと、このように静かに歴史の記憶を組み込む「しかけ」としてのアートが、街の至るところに存在していました。

1 シュタットハウス(旧警察・ゲシュタポ本部)

ナチス時代、ここから政治的敵対者やユダヤ人、シンティ・ロマの人びとへの迫害が組織されました。現在は複合施設として再生されていますが、負の歴史を忘れないための工夫が施されています。建物の前を通る公道の一部は、他とは違う赤みがかった色をしています。その上を歩くと、アスファルトの硬さはなく、足が「フカっ」と沈むような違和感を覚えます。この身体的な違和感こそが、過去の記憶を呼び覚ますためのデザインです。

2 ハノーファー駅跡記念地

ハーフェンシティの公園の一角に、あえて残された古い線路。ここはかつて存在した「ハノーファー駅」の跡地です。1940年から1945年にかけて、ハンブルクおよび北ドイツ各地のユダヤ人、シンティ・ロマの人びとが、ここから強制収容所へと移送されていきました。現在はコンクリート製の展示台が設置され、そこには犠牲者ひとりひとりの名前や移送日、そして行き先が刻まれています。

3 ハンブルク大学の大壁画

ハンブルク大学社会経済学部の建物の側面に、見上げるような巨大な壁画が描かれています。1995年に学生グループの協力で制作されたこの作品が映し出すのは、ナチスの迫害以前にこの地区(グリンデル地区)に息づいていた、ユダヤの人びとの鮮やかな日常です。現代の学生たちは、キャンパスを行き交う中で日々この壁画と向き合い、足元の土地に刻まれた歴史を肌で感じながら学んでいます。

Yoshida Taisuke

人の可能性、そして未来へ

2025年で戦後80年を迎え、これからの記憶の継承が世界的な課題となっています。ナチス・ドイツが設置した強制収容所の総数は、主要な収容所だけでなく、その付属施設やゲットーなども含めると4万2千カ所以上にのぼると言われています。その歴史的課題に対して長年向き合い続けているドイツで、訪れることができるそれぞれの施設では、かつての歴史を克明に知ることができます。 ハンブルクの旅は、持続可能な未来を築こうとする創造性と、残虐な行いーー人間が持つあらゆる可能性と、歴史を見つめこれからの未来を私たちがどう生きるかという「つまずき」を知る旅でもあります。

1 都市の繁栄の影「ノイエンガンメ強制収容所記念館」

ハンブルク近郊にある、かつてのレンガ工場跡地。ハンブルクの繁栄を支えたレンガの多くが、ナチス・ドイツ時代には、ここに収容されていた人たちの過酷な労働によって生産されていました。記録されているだけで10万人以上が収容され、過酷な労働を強いて死に至らしめる「労働による絶滅」の性格が色濃く見られた場所のひとつです。

2 名前ある「あなた」と出会う場所

現在は追悼施設として公開されており、かつて囚人宿舎だった建物を活用した展示など、来訪者が時間と場所を超えて歴史を「歩いて学ぶ」構成となっています。特に胸を打つのが、120名以上の生還者による証言と個人史(バイオグラフィー)の記録です。膨大な犠牲者の数としてではなく、ひとりひとりが「名前と人生を持ったあなた」であったこと。それを感じ、静かに思考をめぐらせる時間がここにはあります。

3 アウシュヴィッツへの旅路

ピースボートクルーズでは、負の歴史を学び、次世代へ継承するために、ポーランドにある「負の世界遺産・アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所」を訪れるスタディツアーも実施しています。これは数日間船を離れて現地へ向かう「オーバーランドツアー」として行われるものです。より深く歴史の現場に立ち、時間をかけて徹底的に学び、考えたい方にとって、一生忘れられない体験となるでしょう。

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