地球、そして宇宙で一番美しい天体現象 オーロラを追いかけて
創造を超える天体現象や、地球の鼓動を感じる壮大な自然。この美しい星・地球をめぐる旅の中で、宇宙と自然の神秘を体験してほしい――そんな思いから、ピースボートクルーズでは皆既日食やオーロラなどの天体現象の観測をサポートするための専門家の方々にご乗船いただいています。今回は、数々の観測企画を成功に導いてきた元国立天文台研究職員の伊東昌市さんに、天空の神秘ともいわれるオーロラの魅力や、その奥深い仕組みについてお話を伺いました。
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伊東昌市さん(元国立天文台研究職員)
杉並区立科学教育センター・物理技術指導係長としてアメリカ・カナダをはじめ世界各地の天文台、天文教育施設を視察。プラネタリウムの国際化を積極的に進めてきた。2008~2015年、国立天文台で専門研究職員を務め、退職後も特別客員研究員等を歴任。現在も国立天文台4次元デジタル宇宙(4D2U)ドーム・シアターで解説を行っている。
宇宙の力を体感させてくれるオーロラ
昨年、私はピースボートクルーズの船上からはじめてオーロラを観測し、その美しさに大きな感動を覚えました。オーロラは、電場や磁場、磁力線が変化することで起こります。太陽の表面からは常にプラズマ粒子が飛び出し、特に黒点付近は活動的で、磁場が絡み合い、磁力線も上空まで引き延ばされます。磁力線がある一定までのびるとつなぎ替え(磁力再結合)が起こり、より短い経路となるよう急速に縮もうとします。太陽側のプラズマ粒子は、磁力線の収縮とともに太陽表面に向かって叩きつけられ「フレア爆発」が起こり、太陽と反対側の粒子も磁力線の変化とともに外向きに打ち出されます。
一方、地球でも磁力線の内側に多くの電子が溜まり、そこに太陽から大量のプラズマ粒子が届くと、磁力線が乱され磁気再結合が起こります。これにより大量の電子が両極方向に流れ込み、極地に近いエリアで大気中の酸素や窒素などの原子や分子と激しく衝突するんです。この衝突によって高いエネルギーを帯びた原子や分子が、元の状態に戻る際に放つ光が「オーロラ」です。 私たちの生活を形づくる物質も、原子と電子が電気的な力で結びついてできています。地球を含む宇宙は、目に見えない電気や磁場の力で満ちていて、オーロラはその働きを“目に見えるかたち”で実感させてくれる貴重な現象です。
千変万化なオーロラを浴びる
オーロラといえば色の変化が印象的です。私たちは、普段は太陽光が物に当たって跳ね返る「反射光」を目にしていますが、オーロラの光は原子や分子が「自ら放つ光」。星の光も同様で、ある特定の元素が出す光や原子のエネルギーを現わしているので、その光を分析すれば元素、温度、密度など、その星の構成がわかるのです。人間の指紋が一人ひとり違うように、原子もその元素特有の指紋のような固有の光を放つのです。オーロラの光も、酸素や窒素といった原子や分子が、状態に応じて発する特定の波長の光。条件によって緑、赤、ピンクなどさまざまな色を持った光が現れる、まさに大自然の驚異なのです。
船上での観測時、デッキで待機していた私は、海面が山火事かと思うほど赤く染まる光景を目にしました。やがて段々と空の上部にも光が広がり、緑色のカーテン状のオーロラに変わっていきました。天頂付近から真一文字の緑のオーロラが現れたときは、幅を広げながらゆっくりと開き、赤やピンクといったさまざまな色の光が空を彩りました。すごいですよ、一晩中見えてるんですからね。オーロラがこちらに向かってくるようで、まるで“オーロラ浴”とでもよびたくなるような体験でした。もちろん写真もたくさん撮りましたし、今はスマートフォンも性能がいいですから、十分に美しい写真が撮れますよ。
生きている地球、その先に広がる宇宙
オーロラを見たのはアイスランド沖でしたが、じつはアイスランドにはかねてから訪れてみたいと思っていた「ギャオ」という場所がありました。今から100年以上前に提唱され、地球が分裂・移動して現在の大陸になったという「大陸移動説」の根拠となった地球表面の裂け目。それがギャオで、大地が動いていることを地上で直接見ることができる、非常に貴重な場所なのです。地球一周の旅では、文化や人びとと出会いだけでなく、地球そのものの壮大さを感じることができます。空や大地へと目を向け旅することで、「広大な宇宙の中の地球という天体にいるんだ」――そんな実感が湧いてくるかもしれません。
アイスランドで“地球の鼓動”を感じる
“生きている地球”を体感できる見どころが、数多く点在するアイスランド。その象徴ともいえるのが「ゴールデンサークル」とよばれるエリアです。アイスランド随一の規模の滝・グトルフォス、空高くまで熱湯が吹き上がる間欠泉、そして地球の割れ目「ギャオ」があるシンクヴェトリル国立公園。いずれのスポットを訪れても、生きている地球と自分が一体化するような感覚が味わえます。
毎秒140トンもの氷河の雪解け水が流れ落ちる、迫力あるグトルフォスの滝。アイスランド語で「黄金の滝」を意味する広大な滝で、陽光を受けた滝が黄金色に輝くことから名づけられました。自然エネルギー大国であるアイスランドでは、水力発電が約7割を占めており、その供給源は氷河の融解水。自然のもつ威力と恵みを存分に感じさせる、アイスランドを代表する壮大な滝です。
アイスランドの驚異的な自然は、地表からも姿を現します。間欠泉を訪れれば、少しずつ水面が揺らぎ膨張したあと、およそ4~8分間隔で轟音とともに水しぶきが噴き上がる様子が見られます。ポコポコと動く水の姿は、地球の呼吸そのもの。氷河の溶解水が地表近くのマグマだまりで温められ、高温となった熱水が一気に噴き上がる光景は圧巻です。
地球の表面を覆う巨大なプレートは、通常は深海にあるもの。しかしアイスランドには世界で唯一、プレートが地表に表出した場所があり、“地球の割れ目”を意味する「ギャオ」とよばれています。ユーラシアプレートと北米プレートが左右に引き合う割れ目であるギャオは、今も年に数センチずつ引き離されていて、まさに動いている地球が感じられる場所です。
世界最北の首都へ
ダイナミックな自然に囲まれたレイキャビクの街。カラフルで可愛らしい街並みは散策にも最適で、憩いのときが過ごせます。街の中心で異彩を放つ「ハットルグリムス教会」は、近未来的でありながらも自然と調和するように街並みに溶け込んでいます。現地の味を堪能したい方には、近海で獲れた新鮮な魚や、かつてヴァイキングが持ち込んだと伝わるアイスランドラム(羊肉)もおすすめです。
世界最北の首都であるレイキャビクは、歩いてまわれるコンパクトさが魅力です。街歩きをしていると、個性的な外観をした建築物やユニークなオブジェが目に留まりますが、これらはアイスランドの自然から着想を得て設計されたもの。目線を上げた先に見える雄大な自然に溶け込むかのように、この街らしいデザインの建物が風景を彩ります。
街のどこにいても目に入るのが、シンボルであるハットルグリムス教会。特徴的な外観は、噴火した火山から流れ出たマグマをイメージしたもので、近未来的な印象も。内部はシンプルで洗練された造りになっており、パイプ数5,275本を誇る巨大なパイプオルガンが設置されています。高さ74mの教会の塔からは、カラフルで温かみを感じるレイキャビクの街並みを眺めることができます。
アイスランドで獲れる魚介類はとても良質で、白身魚やロブスター、干物などの伝統的な保存食も味わえます。約1,200年前の開拓期にヴァイキングが持ち込んだ羊は、交雑することなく現代に至った世界最古の純血種家畜用羊。臭みが少なく柔らかいのが特徴で、ステーキやシチューが人気です。街にはカフェも充実していて、浅煎りの豆を使った「ノルディックロースト」が味わえます。
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