クルーズコレクション

世界各地の絶品「ミナト飯」-航海作家体験記-

2022年8月26日

クルーズライフ -Cruise Life-

船に乗ったまま世界中の食文化を体験

船旅の大きな楽しみ。それは食。全泊全食事付きの世界一周クルーズは、朝昼晩すべてメインレストランで食事ができる。好きな時間にいつでも食べられるビュッフェレストランも魅力だ。ピースボートクルーズでは新鮮な旬の食材を各地で仕入れ、日本人料理長が腕を振るうことで、多くの方の味覚に合うかたちで「世界の食」を提供している。船にいながら世界各地の食文化を体験できるのは、世界一周クルーズならではの贅沢な楽しみだ。しかし、知らない土地で現地ならではの料理をいただくのも世界一周の醍醐味。今回は、筆者の体験をもとに世界中の「ミナト飯」をめぐってみたい。

© Okuhira Keita
基隆の夜市で世界のミナト飯デビュー

世界一周で最初に寄港することも多い基隆(キールン)。夜市天国の台湾でも屈指の規模を誇る基隆廟口夜市は、クルーズターミナルから徒歩でも訪れることができる。黄色い提灯に囲まれた街路には、台湾ならではのユニークな軽食を売る屋台がズラリと並ぶ。日本語は通じないけれど、少しつたないながらも日本語の表示もあるので旅の初心者でも安心だ。日本のそれとはかなり違う「天婦羅」や台湾風の甘いマヨネーズと揚げパンのコラボが絶妙の「三明治」、そして日本でもおなじみの「魯肉飯(ルーローハン)」は押さえておきたい。まずは基隆の夜市で、世界のミナト飯デビューだ。

© Suzuki Shoichi
ホーカーズでユネスコ無形文化遺産を味わい尽くす

シンガポールのローカルフードを財布に優しく味わえる「ホーカーズ」。ホーカーとは屋台を意味する。クルーズターミナルから地下鉄ですぐのチャイナタウンには有名ホーカーズがある。海南チキンライス、ダックライス、ビリヤニ、サテ、ナシゴレン、ラクサ……。軒を並べるストール(お店)での料理は中華、マレー、インドなど多民族国家ならではのバラエティに富む。フルーツやデザートも、赤道直下ならではのトロピカルなものが多い。なお、シンガポールのホーカー(屋台)文化はユネスコ無形文化遺産に登録されている。これはただのミナト飯ではない。世界遺産を味わうレアな体験だ。

© Yuruki Shiho
リスボンの食で感じる大航海時代の息吹

ユーラシア大陸の西端、リスボン。街のあちらこちらでイワシの炭火焼きをふるまうレストランや民家が多いことに驚いた。その光景はまるで、大陸の東端、日本にいるかのよう。実はイワシはポルトガルの伝統食。同国の船が日本にもたどり着いた大航海時代が契機となり、世界的に知られるようになったポルトガルの赤ワインを片手に、粗塩の効いたイワシにかぶりついた。食後のデザートはパステル・デ・ナタ。エッグタルトとして知られる、ポルトガルの国民的スイーツだ。その発祥地は大航海時代の栄光を今に伝える世界遺産・ジェロニモス修道院。はるか大航海時代の息吹を味覚で感じた。

アフリカの南端ケープタウンで、はるかマレーを想う

テーブルマウンテンへとのびる緩やかな坂道、ロングストリート。アフリカらしい肉料理が食べられる店に入る。クドゥ(レイヨウ)やオジロヌー、そしてダチョウ。思いのほかダチョウの味はあっさり。ケープワインと一緒に楽しむ。近くにはボ・カープというカラフルな建物が並ぶ一角。オランダ人の入植後、マレーやインドネシアなどから連れてこられた人々の子孫ケープマレーが暮らす。ケープマレー料理は東南アジアを思わせるカレー風味でスパイスがたっぷり効いているが、辛くない。インド洋と大西洋の水が交わるアフリカ最南端。料理も異なる文化が交わっていた。

上質のステーキとタンゴに魅了されるボカの一日

数多くの移民を受け入れてきたブエノスアイレスの港町ボカ。ランチは「パリシャ」と呼ばれるステーキハウスでとる。一人当たりのステーキ年間消費量が世界一の国だけあって、その質も最高レベル。やわらかい肉はナイフがストンと落ちた。夢を求めて海を渡ってきた、さまざまな民族。その音楽が混ざり合ってボカで生まれたのがタンゴだ。ボカに隣接するサンテルモ地区にはタンゲリア(タンゴショーを見せる店)が軒を並べる。軽い食事と美味しいワインとともにバンドネオンの音色や男女が繰り広げる妖艶なダンスに魅了され、ブエノスアイレスの長い夜は過ぎていった。

バンクーバーで、ひと味違うSushi体験

船が停泊するカナダプレイスから歩いてロブソン通りに出かける。ラーメン屋や居酒屋が軒を並べる通りを歩くと、日本に戻ったような錯覚に陥る。そのなかで群を抜いて目にとまるSushiという文字。しかしここの寿司は、日本のそれとは違う。甘いタレで味付けしたサーモンとキュウリを巻いたBCロール、エビの天ぷらとアボカドが一緒に巻いてあるダイナマイトロール、そしてテリヤキロールなど。店のオーナーは韓国や香港出身者が多いため、味付けもそちら風。東西の交流から発展した港町バンクーバー。それを体現したような不思議な合作・カナダ寿司は意外と悪くなかった。

© Kajiura Takashi
「究極のミナト飯」はパペーテのルロットにあり

午後6時ごろ、船が停泊しているパペーテの岸壁広場は「ルロット」というフードトラックがひしめき合う屋台街に変貌する。フランス領らしくソバ粉で作るクレープ「ガレット」やフランスパンもあれば、ぶつ切りにしたマグロの刺身に野菜とココナッツミルクを混ぜた「ポワソンクリュ」、牛肉と野菜と麺を醤油ベースの餡にからめた中華料理「チャオメン(炒麺)」などが味わえる。ルロットはすべてアルコール禁止なので、食前後に地元のHINANOビールを飲みに行くのもいい。船の真ん前に出現するルロット。東洋と西洋そして南洋のテイストもたっぷりの「究極のミナト飯」だ。

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文・構成:カナマルトモヨシ(航海作家)
日本各地のみならず世界の五大陸をクルーズで訪問した経験を持つ航海作家。
世界の客船を紹介する『クルーズシップ・コレクション』での執筆や雑誌『クルーズ』(海事プレス社)に連載記事やクルーズレポートを寄稿している。

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