驚きの光景が続く、世界最古の砂漠に覆われた国
国土の大部分を世界最古の砂漠に覆われているナミビア。国名は、先住民の言葉で「なにもない」を意味しています。目前に広がる不毛な大地にそう表現する他なかったのかもしれません。しかし現在、ナミブ砂漠と名付けられた広大な砂の海は、同国の大事な観光資源へとすっかり様変わりしました。砂漠や荒野が紡ぐ絶景、砂の大地だからこそのアクティビティの数々、そして可愛らしいドイツ風の街並み。たくさんの魅力が多くの旅行者を惹きつけ続けています。ピースボートクルーズの南周り航路の中でも特に雄大な自然に出会える寄港地です。
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文 / 多賀秀行 写真 / Okuhira keita
野生動物も集う、砂漠の街
ピースボートクルーズが寄港するのは、ナミビアの海の玄関口・ウォルビスベイ。背の低い建物が並ぶコンパクトなサイズの街です。街の裏手にある鳥類保護区に足を運べば、淡いピンク色に染まるフラミンゴの群れに。港から観光船に乗り込めば、オットセイやイルカに出会えたりと、野生動物との距離が近い街でもあります。一方で内陸へと車を走らせると景色は一変。クリーム色の砂で埋め尽くされたナミブ砂漠の姿が目に飛び込んできます。その想像以上の迫力に、あちこちで驚嘆の声が上がります。
裸足になって、砂丘の頂上を目指す
ウォルビスベイから10キロメートルほどの距離に、ナミビアを代表する名所のひとつ、「デューンセブン」という砂丘があります。標高は300メートルを少し越えるほどで、気軽に頂上を目指して登れるものです。もちろん舗装された道なんて作れませんから、砂の稜線を登るのみ。歩く距離は構えるほどのものではありませんが、いかんせん足下はすべて砂。特有の歩きづらさに加え、靴に大量の砂が入ってきます。誰から始まったのか気付けば多くの人が、靴を脱いで登っていきます。
額に汗が流れ出した頃、頂上に到着。砂丘の頂上から望む壮大な景色を目にすれば、疲れは吹き飛んでいきます。呼吸を整えたら今度は下りです。砂地なだけに転んでも痛くないので、走ったり、お尻で滑ったりしながら、一気に駆け下ります。全身でナミブ砂漠を感じる、爽快な体験です。 ナミブ砂漠が誕生したのは、およそ8,000万年前。長い年月を経て、過酷な環境に適応できる動植物だけが残りました。ナミビアは乾燥した空気と晴天が多いことから、世界でも有数の星空が美しい国としても知られています。出港後の夜空も楽しみです。
月面世界に奇想天外、驚きの光景が続くナミブ砂漠
ウォルビスベイ近郊には他にも見どころがあります。月面のように荒涼とした大地が広がるムーンランドスケープや2000年もの寿命を誇るウェルウィッチアという植物など、驚きの光景が続きます。 そしてナミブ砂漠を楽しむアクティビティとして、クアッドバイクという四輪駆動のバギーやサンドボードなども人気です。バギーに跨がって急斜面を登ったり、降りたり。スノーボードと同じくボードに足を固定して砂の上を滑ったりと、世界を見渡してもなかなかない、貴重な体験ができます。砂まみれになることもありますが、気分爽快になることでしょう。
ナミブ砂漠で最も美しい、朝日に輝く砂丘群
ナミブ砂漠を語る上で外せないのが、ソッサスフレイという砂丘群です。スケールがとても大きいもので、標高が300メートルを越えるものも珍しくありません。しかし、最大の特徴はその色にあります。ソッサスフレイが「赤い砂漠」を意味するとおり、砂が赤に染まっているのです。しばしばアプリコット色とも表現されるこの色は、風に舞う中で砂に付着した鉄分が酸化することで生み出されました。特に朝日が昇る時間帯が美しく、日が当たり輝く裾野と、当たらずに陰に覆われた裾野が奏でるコントラストは絶景という他ありません。
世界遺産アカデミー認定講師の片岡英夫さんが語るナミブ砂漠の魅力
起源8000万年前に形成された世界最古のナミブ砂漠は、ナミビアの大西洋沿岸に沿って、北はアンゴラ国境、南は南アフリカ北端までどこまでも広大に続く唯一無二の風景です。なぜ「なにもない」砂漠の風景が人びとの心を惹きつけてやまないのか――旅行地理検定・1級試験で日本一位を獲得し、「海外旅行地理博士」として、また世界遺産アカデミー認定講師として活躍する片岡英夫さんに伺います。
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世界遺産アカデミー認定講師の片岡英夫さんが語る
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