ピースボートでゆく世界の寄港地-バルパライソ編-

南米チリに位置するバルパライソは、「太平洋の宝石」ともよばれる美しい港町。世界遺産にも登録された旧市街には、坂道に沿って広がるカラフルな家々、ストリートアートが溶け込んだ風景、そして海を望む開放的な空気があふれています。かつては南米を代表する貿易拠点として栄え、今もなお文化と芸術の香りが色濃く残る街。
観光地としての魅力はもちろん、この個性豊かな街の日常の暮らしや芸術にふれることで、より深くチリという国を感じていただけるでしょう。
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海と丘が織りなす、色彩にあふれた港町の風景
バルパライソの街に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは色彩豊かな家々と起伏のある地形。その複雑な地形に沿って築かれた住宅地や階段、ロープウェイは、この街ならではの景観をつくり出しています。海と山が近接する地形のなかに、暮らしと芸術が自然に溶け込んだこの街には、散策するだけで心が躍るような魅力が詰まっています。

この街の象徴ともいえるのが、丘の斜面に立ち並ぶ色とりどりの家々です。赤や青、黄色など鮮やかな色に塗られた外壁は、霧の多い気候の中でも街全体を明るく彩ります。これらの家々は、かつて船の塗料を使ってペイントされたことに由来し、今では芸術的な景観の一部として親しまれています。階段や通路を歩くだけで、まるで絵本の中に入り込んだような感覚を味わえます。

坂の街・バルパライソでは、「アセンソール」とよばれるケーブルカーが人びとの暮らしを支えています。車窓からの風景は印象的で、眼下に広がる街と海を眺めると、より深くこの街を感じることができるでしょう。出口近くのショップ「La Vida Porteña」では、坂や船をモチーフにしたアートなお土産や、地元アーティストの作品に出会えます。

バルパライソ近郊にある国立植物園は、地元の人びとの憩いの場。この植物園には、2023年の山火事で被害を受けた地域があります。その中には、広島の原爆を生き抜いた木の種から育てられた「奇跡の木」とよばれる桜やイチョウも含まれており、火災を乗り越えて今も力強く根を張り、希望の象徴となっています。ピースボートの支援※で新たに植樹された桜もあり、春には多くの人が花見に訪れます。

バルパライソ近郊の町・コンコンには、長年海風に砂が押し戻されできた砂丘があり、気軽に訪れられる場所として地元の人びとに親しまれています。昼間はサンドボードで遊ぶ子どもたちの笑い声が響き、夕暮れどきにはビール片手に沈む夕日を見つめる人の姿も。高台からは海岸と街並みが広がり、日常の延長にある、特別な時間が流れています。
ピースボートでは、2024年にバルパライソで発生した山火事の被災地を支援するため、船内で募金活動を実施し、公益社団法人ピースボート災害支援センターを通じて支援金を届けました。
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壁が語る、心がふれる。アートに満ちた街の日常
バルパライソの魅力を語るうえで欠かせないのが、街全体に広がるストリートアートです。迷路のような坂道や階段の壁面には、数えきれないほどの色彩豊かな絵が描かれ、まるで街そのものがひとつの巨大なギャラリーのよう。芸術は美術館の中にとどまらず、暮らしの中に自然と溶け込んでいます。地元のアーティストたちが手がけた作品やクラフトは、お土産としても人気。訪れる人びとの心をつかんで離しません。

坂道の先にギャラリーや作業中のアトリエが現れるバルパライソ。人びとの生活の延長に表現がある、そんな印象を受けます。街全体がアートなこの地では、角をひとつ曲がるだけで世界が変わり、色鮮やかな壁画の先には、暗い記憶を描いた作品も。どれだけ歩いても見飽きることがなく、そこには、ひとりひとりの心にふれるような作品があります。

多くのアーティストが暮らすこの街では、つくり手と直接言葉を交わし、気に入った作品を購入できるのも魅力。その背景にある物語を知ることで、アートは文化や社会への入口に。平和や抗議の意志を感じる作品にふれ、チリの歴史や今に心が引き寄せられることも。大量生産にはない温かさが手の中に残り、帰国後もふとした瞬間に旅の記憶を呼び起こしてくれるでしょう。

土地の恵み。バルパライソで出会う美食の旅
海と丘に囲まれたバルパライソでは、自然の恵みを活かした料理や飲み物が旅人を楽しませてくれます。港町ならではの新鮮なシーフード料理はもちろん、チリを代表するワインの名産地でもあり、芳醇な香りに包まれるワイナリー訪問も人気です。市場やレストランでいただく地元グルメは、見た目にも鮮やかで、旅の記憶を豊かに彩ってくれるでしょう。

バルパライソ近郊のカサブランカバレーは、海からの冷たい風が吹き抜ける冷涼な土地。霧を避けるための風車が点在するこの地域では、ゆっくりと成熟するブドウからフレッシュで香り高い白ワインが生まれます。ここは絶滅したはずのブドウの品種「メルロー」が奇跡的に見つかった地でもあり、今ではチリを代表する味わいとして、世界的に知られる存在です。

スープを好むチリの人びとの食文化の中でも、港町バルパライソでは魚介を煮込んだ料理が主流。中でもチュペは、ミルクやパンとともに魚介をグラタンのように焼き上げた、名物料理のひとつです。具材によって呼び名が変わり、特にカニの身をぎっしり詰めた一皿は、見た目にも豪華。まろやかさと旨みが溶け合う味わいは、海辺の街でしか出会えない、旅のごちそうです。

アンデスの麓に広がる首都・サンティアゴで、多彩な表情にふれる旅を
バルパライソからバスで約2時間。チリの首都・サンティアゴは、歴史ある建築と近代都市が調和するダイナミックな街です。洗練された文化や自然の風景にふれることができ、日帰りでも見どころが満載。丘の上から街を一望したり、日本ゆかりの庭園を歩いたりと、静と動が交差する魅力的な時間が流れています。限られた時間でも、サンティアゴの豊かな個性を味わうことができるでしょう。

サンティアゴ中心部では、大統領府モネダ宮殿やカテドラル、博物館などが街のなかに溶け込むように建ち並んでいます。石造りのクラシックな建築と現代的な建物が共存する風景も、この街の日常の一部。散策の途中にはカフェやレストランが多く、行き交う人びとの暮らしが自然と目に入ってきます。

市街地から近いサンクリストバルの丘は、ロープウェイや徒歩、自転車でも登ることができ、週末には多くの市民がランニングやサイクリングを楽しむ姿が見られ、頂上は街とアンデス山脈の絶景が広がります。かつて世界的に肥満率が高いという統計があったチリですが、健康意識の高まりとともにスポーツがブームに。この丘は、その象徴のような存在でもあります。

市内にある日本庭園は、日本とチリの友好を記念してつくられました。池や木橋、紅葉する木々が調和し、丁寧に整えられた空間は、異国にいながら和の趣を感じられます。園内のイベントスペースでは、日本文化にまつわる催しも定期的に開催されており、日本を愛する人びとが集います。文化をきっかけに心を通わせる場として、今もこの庭園は大切に守られ続けています。

南米随一の高さを誇る展望台「スカイコスタネラ」。地上300メートルを超える高さから見るパノラマは、まさに圧巻。晴れた日にはアンデス山脈までくっきりと見え、現代都市としてのサンティアゴの姿を実感します。そして夕方には、街の明かりが少しずつ灯り始めて、まるで光の海に包まれているような感覚に。サンティアゴを空から感じられる特別な場所です。

首都が誇るもうひとつの顔。資源・宝石・食で知るチリの魅力
サンティアゴには観光地以外にも、チリという国の“素顔”を感じられるスポットが点在しています。世界有数の銅の生産地としての側面や、美しい青い宝石ラピスラズリの産地としての誇り、そして地元の味が楽しめる料理の数々。こうした文化や資源にふれることで、首都として、観光地としてだけではなく、国の多様性と奥深さが感じられる滞在となるでしょう。

街を歩いていると、銅を使ったアクセサリーや小物をよく見かけます。ピカッと光るものばかりではなく、使い込むほどに味わいが出るような、どこか温かみのある色合いが印象的です。チリは世界でも有数の銅の産地で、生活の中でも身近な素材なんだそう。手に取ったときのずっしりとした重みから、この国のもうひとつの姿を感じる。銅を通じて、豊かな鉱物資源に支えられたチリの経済的背景を垣間見ることができます。

深い青と金色の斑点が夜空を思わせ、“天空の石”とよばれるラピスラズリ。お土産店では、手軽なものからデザイナーの一点ものまで多彩に並びます。石の意味や背景を聞きながら選ぶ時間も、旅の楽しみに。(※訪問時は事前連絡が必要な店舗もあります)その色、そのかたちに心が動いた瞬間が、旅の中の印象的な出会いになるかもしれません。

国際都市として成長したサンティアゴでは、多彩な食文化が息づいています。中でも印象に残るのは、地元で親しまれている「ビステック・ア・ロ・ポブレ」。ステーキに目玉焼き、ポテトや玉ねぎを添えたワンプレートで、こうした一皿を頬ばると、この街の暮らしが少し近く感じられます。食を通じて日常にふれることで、旅がよりあたたかい体験へと変わっていくでしょう。

心に色を残す港町、そして首都へ——旅が教えてくれる“世界の広さ”
カラフルな街並みと自由な表現が息づく港町・バルパライソ。雄大な自然と都市の機能美が交差する首都・サンティアゴ。それぞれに異なる表情を持つふたつの街は、チリという国の奥深さを静かに語りかけてくれます。寄港地として訪れるからこそ、観光だけではない“暮らし”や“文化”にふれることができる——そんな特別な体験が待っています。五感でふれる世界のひとコマを、ぜひあなた自身の旅の記憶に加えてみませんか。






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