ピースボートでゆく世界の寄港地-アムステルダム編-
日本とオランダの交流は、じつは400年以上もの歴史があります。鎖国時代、唯一の「西洋への窓口」だった長崎・出島を通じて、両国は深く関わり続けてきました。きっとかつての人びとも異国の文化に目を輝かせたことでしょう。その新鮮な驚きは現代の旅にも通じるもの。「異文化に出会う感動」が待つ、アムステルダムを旅します。
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水上に築かれた世界遺産の街
もともと湿地帯だったアムステルダムは、17世紀の黄金時代に、世界でも類を見ない大規模な都市計画によって生まれ変わりました。居住地確保と物流のために築かれた同心円状の運河網は、旅行者の目にはとても新鮮に映ります。また優れた水利技術と芸術性が評価され、2010年にユネスコ世界遺産に登録されています。現代にも運河は、ボートでの移動や憩いの場としてアムステルダムの人びとの生活に深く根付いています。過去の遺産と現代の営みが美しく調和したこの「水上の街」は、歩くたびに新たな発見と感動を与えてくれます。
水の都・アムステルダムを象徴するアクティビティが「カナルクルーズ(運河遊覧クルーズ)」です。日本語オーディオガイド付きのボートをはじめ、ドリンク&スナック付きボートや、フォトジェニックにカラフルな花で彩られたボートまで、ボートの選択肢は多彩。自分好みのプランが見つかります。水面から見上げる街の景色は、地上とは一味違う特別な感動を与えてくれます。
運河の街・アムステルダムには1,000以上の橋が架かり、美しい景観を織りなしています。特に有名な「マヘレの跳ね橋」や、アーチが重なる「7つの橋」は必見。クルーズ船で橋の下をスレスレでくぐり抜ける瞬間は、まるでアトラクションのような迫力です。歴史あるレンガのアーチを間近に見上げ、水上の街ならではの立体的な風景が楽しめます。
運河沿いのカナルハウスを見上げる際には、屋根の頂点にご注目ください。屋根から突き出た「フック」は、間口が狭く階段が急なアムステルダムの家ならではの工夫の跡。かつて商人が運搬してきた荷物をロープで吊り上げるために使われてきたものです。現在も現役で、引越し荷物を引き上げるなど、日常使いされているそうです。
アムステルダムの運河には、約2,500艘もの「ハウスボート(Woonboot)」が係留されています。元々は深刻な住宅不足を補うためのものでしたが、現代は電気や水道、暖房も完備された快適な「動かない家」。デッキを花や緑で彩り、テラスでくつろぐ住民の姿からは、自由と寛容を愛するこの街ならではの、ユニークな水上生活の様子が垣間見えます。
オランダの原風景に出会う
アムステルダムから少し足を延ばせば、そこはまるで絵本の世界。「ザーンセ・スカンス」は、17〜18世紀のオランダの伝統的な村の風景を再現した地域です。鮮やかな緑色の木造家屋や、川に沿って並び悠然と回る風車、そしてのどかな田園風景。まさに誰もが思い描く「オランダの原風景」です。 風車は単なる景色ではなく、かつては香辛料を挽いたり、木材をカットしたりする産業の動力源でした。ここはオランダの歴史と産業の知恵が詰まった野外博物館のような場所で、オランダカルチャーを目でも食でも楽しめます。
ザーンセ・スカンスのチーズ工房では、オランダ名物「ゴーダチーズ」の伝統的な製法を見学できます。棚にずらりと並ぶチーズは圧巻。ハーブやスパイス入りなど種類も多彩で、濃厚でクリーミーな味わいを惜しみなく試食しながらお気に入りの一品を探せます。伝統衣装のスタッフが出迎えてくれる、オランダの食文化を目と舌で楽しめる人気スポットです。
かつて湿地帯の泥や寒さから足を守るため、オランダの人びとに愛用された「木靴」。工房では、職人が一本の丸太を瞬く間に靴の形へと変える、製作実演を見ることができます。木屑が舞う迫力あるショーの後は、壁一面に並ぶカラフルでかわいい木靴をお土産に。旅の思い出にキーホルダーやマグネットでお気に入りの一足を探すのも楽しみです。
日本では「ミッフィー」として親しまれるオランダ生まれのうさぎの女の子「ナインチェ」。ザーンセ・スカンスでは、オランダの伝統衣装や木靴を身に着けたナインチェが迎えてくれるのでぜひ探してみてください。風車の村ならではの愛らしい姿は、旅の特別な思い出になります。
街中で必ず目にする最大手スーパー「アルバート・ハイン」。そのルーツとなる創業時の姿を再現したミュージアムショップがザーンセ・スカンスにあります。現代の店舗とは対照的な、19世紀の小さな食料品店の佇まい。棚にはレトロなパッケージのコーヒー缶やお菓子が並び、スーパーの歴史を感じながら、限定雑貨やお土産探しが楽しめます。
美と創造の最前線
「ミュージアムクオーター」は、ゴッホ美術館やアムステルダム国立美術館などが集結する文化エリア。ゴッホやレンブラント、フェルメールら巨匠の作品に浸ることができます。一方、対岸の北エリアにあるのは、造船所跡地をリノベーションした「NDSM」。ここは若手アーティストやクリエイターが集まる発信地です。オランダでは、新しく建物を建てる際には、全体予算の一部をデザインやアートにあてるなどの取り組みがあり、街全体が巨大なキャンバスのように進化し続けています。
アムステルダム国立美術館で絶対に見逃せないのが、世界三大絵画のひとつ、レンブラントの「夜警」です。あまりの巨大さと重要性から門外不出とされる、ここでしか会えない至宝。現在はガラス張りの部屋で修復・調査を行う「オペレーション・ナイトウォッチ」が公開されており、名画の迫力とともに、歴史が守り継がれる瞬間を目の当たりにできます。[photo:Wikimedia Commons / Public Domain]
アムステルダム国立美術館の至宝、フェルメールの「牛乳を注ぐ女」。窓から差し込む柔らかな光の中、メイドが静かに牛乳を注ぐ一瞬を切り取った傑作です。印象的な「フェルメール・ブルー」と黄色の衣装のコントラスト、そして質感までリアルな光の粒。絵の前に立つと、数百年前の日常の静寂がそのまま流れ込んでくるような感動を覚えます。
アムステルダム国立美術館では、傑作が待つ「名誉の間」へと続く大広間のステンドグラスも必見です。オランダの芸術や歴史を物語る壮大な図案は、絵画に劣らぬ美しさ。高い天井から降り注ぐ光が色鮮やかな影を落とし、まるで大聖堂のような荘厳な空間をつくり出しています。建物そのものがひとつの巨大な芸術作品であることを実感できるはずです。
NDSMのシンボルとも言えるのが、240平米もの巨大なアンネ・フランクの壁画です。ブラジルの世界的アーティスト、エドゥアルド・コブラの手による作品で、鮮やかな色彩と幾何学模様が特徴。軽やかに微笑む彼女のその表情からは、悲劇の歴史を超えて自由と希望を力強く訴えかけます。ストリートアートの傑作です。
アムステルダムのイケてる街には「ルーチェ」がある?!
そう囁かれるほど、アムステルダムのお洒落エリアや運河沿いで賑わうのが、ステーキの名店『Loetje(ルーチェ)』です。ここの名物は、驚くほど柔らかいテンダーロインステーキと、たっぷりの特製グレービーソースです。付け合せの白い食パンをソースにたっぷり浸していただくのがオランダ流。肉の旨味が溶け出した濃厚なソースを、パンに染み込ませて食べるのが、たまらない美味しさです。カロリーを忘れて頬張りたくなる、至福の味わいです。 他にも、アムステルダムは美味しいものがたくさん!街歩きと一緒にぜひお楽しみください。
街角の屋台で楽しむオランダの国民食といえばこの2つ。脂の乗った塩漬け生ニシン「ハーリング」は、刻み玉ねぎをたっぷり乗せ、尻尾を持って豪快に丸かじりするのが粋なスタイル。一方、タラなどの白身魚を揚げた「キベリング」は、サクサクの衣と特製ソースが相性抜群。散策のお供や白ワインのアテにも最高です。
もうひとつオランダの国民食といえば「クロケット」。日本のコロッケのルーツともいわれています。最大の特徴は、サクサクの衣の中に、牛肉の旨味が詰まった濃厚なとろとろクリーム(ラグー)が入っていること。熱々をマスタードに付けて頬張るのが定番です。パンに挟んだり、街中の「壁の自動販売機」でコインを入れて買うのもユニークな体験です。
アムステルダム生まれの世界的なビールといえば「ハイネケン」です。本場で味わうキレのある爽やかな喉越しは格別。じつはオランダはビール大国でもあり、市内には個性的なマイクロブルワリーが点在しています。運河沿いのテラス席で、水辺の風を感じながら地元のビールを味合うーーそんな特別なひと時は最高です。
クレープより少し厚めで、モチモチした生地が特徴で、お皿いっぱいに広がる巨大さも特徴的なオランダのパンケーキ、「パンネクック」。だいたいどの店でも直径30cmくらいあり、ベーコンやチーズを焼き込んだ食事系から、フルーツ満載のスイーツ系まで変幻自在です。街中に専門店もあり、食事としてもおやつとしても楽しめます。
サーキュラーエコノミー(循環型経済)と寛容の精神
街を歩くと、女性ふたりが子どもとくつろいでいたり、男性ふたりが手をつないで記念撮影をしていたり。彼らがどんな関係でも、世界ではじめて同性婚を合法化したオランダでは、互いの親密な姿がごく自然に日常に溶け込んでいるのだと気づかされます。 そんな「寛容」な精神を持つオランダが次に挑むのが、2050年までの「100%サーキュラーエコノミー(循環型経済)」の実現。廃棄をなくし資源を循環させる、野心的な社会実験の最前線です。美しい運河やアートだけでなく、未来の社会モデルを肌で感じるアムステルダムの旅は、私たちに新しい視点と学びを与えてくれます。
サーキュラーエコノミーの最前線といえば「デ・クーベル」。アムステルダムの官民一体型のサーキュラーエコノミー実験区です。廃棄された船舶をオフィスやカフェに再生させ、木の遊歩道でつながれた空間は、まるで秘密基地のようなワクワク感があります。ゴミを出さない仕組みが徹底されたカフェも楽しめます。
ザーンセ・スカンスの風車群は、じつは循環型社会の大先輩です。風という自然の力だけを動力源にし、環境負荷ゼロで産業を回してきたシステムは、究極のクリーンエネルギーです。単なる懐かしい景色ではなく、自然と共生する先人たちの知恵そのもの。その姿は、持続可能な未来をめざす私たちに、大きなヒントを与えてくれます。
運河沿いに佇む「アンネ・フランクの家」。ナチスの迫害を逃れ、一家が息を潜めた「隠れ家」が当時のまま保存されています。街の中心にあえて戦争の傷跡を残す姿に、過去を風化させず、悲劇を二度と繰り返さないという強い意志を感じます。世界中から人びとが訪れる祈りと学びの場所。中に入るためには、予約をお忘れなく。
運河の水面へと続く、大きな三角形。ナチス政権下で迫害された同性愛者を追悼する世界初の記念碑「ホモモニュメント」です。過去の悲劇を刻むだけでなく、平等と受容を求める戦いの「生きた証」として、現在もイベントや教育活動の拠点となっています。アムステルダムの「寛容の精神」を象徴する、静かで力強い場所です。
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