ポリネシアン・トライアングルを旅する
美しい海に彩られた南太平洋。ハワイ、イースター島、ニュージーランドを結んだエリアは、”ポリネシアン・トライアングル”と呼ばれます。この広大な海域の内側に位置する島々は、互いにかなりの距離があるにもかかわらずさまざまな文化を共有しており、ひとつの広大な文化圏を形成しています。ビーチリゾートとしての南太平洋だけではなく、それぞれの島で育まれた多様な文化を体験し、その”つながり”にふれることができるのもピースボートクルーズならでは。島々に伝わる歴史と伝統を見つめ、ポリネシアの”いま”を知る旅が始まります。
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文・構成 / 編集部 写真 / PEACE BOAT
海がつなぐ歴史と文化
“南洋の楽園”タヒチや”絶海の孤島”イースター島、雄大な自然を擁するハワイ諸島など、個性豊かな島々からなる太平洋のポリネシア地域。ポリネシアとは、ギリシャ語で「たくさんの島々」を意味しています。このエリアに暮らす人びとの祖先は、約3000年前に東アジア地域から壮大な航海を経て渡ってきたと考えられています。ハワイ、イースター島、ニュージーランドを結ぶ巨大な三角形は、地理的には1辺約8,000キロメートルと非常に広大ながら、その内側には、言語や芸術、伝統、宗教などを共有するひとつの文化圏を形成しています。
ポリネシア地域を知る
タヒチ/イースター島間のクルージングに必要な日数は、現代の船でおよそ7日間。それを思うと、ポリネシアの人びとの旅路の壮大さに驚かされます。広大な海域をひとつの文化圏として捉えることができるのは、地球をめぐる船旅だからこその経験です。 旅で訪れる島々からゲストを船に招き、洋上でポリネシア地域の文化や暮らし、歴史などについての講座が催されます。タヒチの伝統農家ガブリエル・テティアラヒさん(通称:ガビさん)が教えてくれるのは、先住民族「マオヒ」のライフスタイル。タヒチの伝統的な暮らしの知恵や民族衣装パレオの巻き方を学ぶと、タヒチ寄港が一層楽しみになります。
周囲2,000キロメートルを海に囲まれた”絶海の孤島”イースター島の文化や伝統を教えてくれるのは、島の文化や歴史の継承を促進するNGO「トキ」の創始者で、アーティストのマリオ・トゥキさん。イースター島の文化や歴史、モアイ像のミステリーを講座で紹介してくれるだけでなく、パフォーマンスやワークショップなども駆使して、現代に生きる島の伝統を存分に伝えてくれます。 そして何より、4,000キロ以上離れたイースター島とタヒチに暮らすふたりが、それぞれの言葉で話しても伝わり合っている様子は、海が文化をつないでいることを確かに感じる瞬間です。
リンクする伝統文化
広大な海に隔てられたポリネシアの島々ですが、それぞれの島ではたくさんの文化を共有しています。特にその類似性を感じられるのが、各地に伝わる伝統料理です。 中でも有名なのは、土を掘って作った石焼かまどでつくる蒸し料理。タヒチでは「アヒマア」、ニュージーランドでは「ハンギ」、サモアでは「ウム」と呼ばれます。タロイモやバナナ、魚、肉、根菜などの食材を大きな植物の葉で包み、火の中に並べていきます。その上にまた植物の葉を幾重にも被せ、1時間ほど蒸し焼きにします。ほくほくと焼きあがった肉や野菜はどれもやさしい味わい!ポリネシアの恵みを堪能できる大満足の一品です。
文化の共通点は、島々に伝わる伝統舞踊にもみられます。ポリネシア地域のダンスといえば、ニュージーランドの「ハカ」が有名。ラグビーの代表チームが試合前に披露することで知られますが、同じルーツを持つ踊りは、サモアに伝わる「シヴァタウ」やイースター島の「ホコ」など各地で継承されています。また、タヒチに伝わるタヒチアンダンスも、ハワイのフラの原型なのだといわれています。 船旅では、これらの踊りに挑戦する機会も。ダンスのワークショップや成果を披露するステージが開催されたり、現地のグループが伝統舞踊を披露したりと、海を越えてつながる文化を楽しみながらふれられる体験は大人気です。
現地の取り組みに学ぶ
サモアからのゲスト、ペセタ・アラシ・ティオティオさんが代表を務める女性支援NGOでは、サモアの伝統文化を大切にしながらマイクロファイナンスや有機農業、フェアトレードを活用した農村部の経済発展を支援しています。 ピースボートではサモア寄港の際、この団体の運営する農場を訪れ、取り組みを学ぶスタディーツアーを実施しています。ココナッツオイルや石鹸づくりの様子を見学したり、有機農業についてレクチャーを受けたり、伝統的なサモア料理を食べたりと、現地の方々から持続可能な地域社会のあり方を直に学べることはとても貴重なことです。それはまた、私たちの暮らしと向き合う体験でもあります。
リゾートアイランドのイメージが強い南太平洋の島々。しかしそのきらびやかさとは裏腹に、観光開発や文化の流入によって先住民族文化の多くは本来の形が失われつつあります。 アロハ・アイナ――これは、ハワイの先住民族が大切にしている言葉。「アロハ」は愛や思いやり、尊敬を、「アイナ」は大地を意味しています。「自分たちの暮らしている土地を大事にすること」先住民族が語り継いできたそんな価値観こそ、持続可能な社会を実現するために私たちが改めて見つめるべき指針なのかもしれません。広大なポリネシア地域をめぐる旅は、持続可能な社会について学ぶ旅でもありました。
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